HBソリューション、1年遅れでサムスンディスプレイにQDインクジェット装置を納入


2022.11.02 The Elec

 

当初は昨年末に計画されていた韓国のHBソリューションからのサムスンディスプレイへのQDインクジェット装置の納品が、1年余りの遅れで実現するようだ。米国のカティーバ(Kateeva)が既に製作したQDインクジェット装置にHBソリューションがソフトウェア作業などを追加し、今月末までにサムスンディスプレイに装置を供給する予定だ。今回に納品する装置の性能が、今後のHBソリューションのインクジェット装置事業において重要な役割を果たすと予想される。

 

2日、業界によると、HBソリューションは今月末までにサムスンディスプレイに8.5世代のQuantum Dot(QD)-有機EL(OLED)Q1ライン用のQDインクジェット装置を納品する予定である。HBソリューションが1日、サムスンディスプレイと締結したと明らかにした145億ウォン規模の装置供給契約がQDインクジェット装置を指すものと見られる。QDインクジェット装置は、QD-OLEDでQD色変換層を形成するために使用される。

 

HBソリューションに今回発注された装置は昨年、サムスンディスプレイがカティーバから条件付購入を決定したインクジェット装置である。カティーバが昨年に既に製作を終えたQDインクジェット装置にHBソリューションがソフトウェア作業を追加して検収を終えた後、今月末までにサムスンディスプレイに納品する予定である。カティーバが製作した装置が、HBソリューションを通じて供給される。今回の装置供給契約期間が今月1日から30日までと短いのも、装置製作が既に終わったためとみられる。通常の場合は、発注後製作までは短くても数ヶ月かかる。

 

HBソリューションがカティーバの装置にソフトウェアを一部追加して納品するものだが、HBソリューションへの今回の契約は重要なマイルストーンになる見通しだ。HBソリューションは、装置の搬入後メンテナンス作業を継続し、長期的にインクジェット装置を生産する計画を保有している。サムスンディスプレイは、協力会社が最初の装置を納品する場合には、所属エンジニアが直接派遣され、装置評価を実施する。HBソリューションが供給契約を締結したという事実は、サムスンディスプレイから装置の承認を受けたという意味である。

 

インクジェット装置の中枢は、コニカミノルタが作るヘッドを制御するアルゴリズム技術として知られている。ヘッドを通して落ちるインクが正確な位置に均一にコーティングされるように制御するアルゴリズムが重要であり、カティバはこの分野で強みを持っている。カティーバがHBソリューションにインクジェット装置技術をサポートしているが、業界ではカティーバが関連アルゴリズムは開示しないだろうという観測が優勢だ。

 

HBソリューションが今回納品する装備性能の客観的評価は、サムスンディスプレイのQD-OLEDの第2段階の投資が進行するためと明らかになると予想される。すでにサムスンディスプレイにQDインクジェット装備を納品して量産適用中のサムスン電子の子会社セメスの装置が競争相手である。

 

HBソリューションがカティーバ装備をサムスンディスプレイに代わって納品するのは、カティーバが韓国事業から撤収した影響も大きいことが分かった。韓国内の人材のないカティーバの装置のメンテナンス作業をするには組織が必要だが、サムスンディスプレイと緊密な関係にあるHBソリューションがこの役割を引き受けたものと見られる。

 

昨年末、HBソリューションは会社レベルで「カティーバとコラボレーションし、サムスンディスプレイQ1ラインにインクジェット装備を納品する」と積極的に広報した。

 

これに先立ち、2019年にQDインクジェット装置の全量を受注したセメスの装置の性能が期待できないので、サムスンディスプレイは昨年にカティーバ装置の条件付購入を決定した。一種の保険レベルの購入案で、性能が落ちれば代金を支給しないという条件だった。昨年上半期以降、セメスのインクジェット装置性能は着実に改善されたことが分かった。サムスンディスプレイのQD-OLED生産収率が上半期に85%を超えたこともこれを裏付ける。

 

一方、サムスンディスプレイへの第6世代中小型OLED用薄膜封止(TFE)用のインクジェット装置供給は、カティーバからセメスに移行した。