サムスン・LG、フレキシブルOLEDの封止にALD技術導入を検討中


2016.09.22 ETnews

サムスンディスプレイとLGディスプレイフレキシブル有機ELOLED)薄膜封止工程に原子層堆積(ALD)技術の導入を検討している。両社とも製造装置パートナーと協力ALD装置を開発し、内部検証中である。ALDプロセスを導入すれば、有機物を水と酸素から遮断する効果が大きくなって、全体的にフレキシブルOLEDパネルの寿命と性能を引き上げることができる。

 

サムスンとLGフレキシブルOLED工程にALD技術の導入を準備している。JUSUNGエンジニアリング(JUSUNG ENGINEERING)、Wonik(원익)IPSAPシステム、テスなどが有機ELディスプレイ用のALD技術と製造設備を保有している。LGディスプレーは、最初にALD研究を終え、製造工程への導入のための開発を開始しており、最近ではサムスンディスプレイもALD導入を急いでいる。両社ともALD技術を研究開発し、最近はフレキシブルOLED設備に積極的に投資しながら、実際の導入の可能性検討している。研究開発を終えて商用化のための開発段階に突入した。パネルメーカーごとに薄膜層を覆う回数は異なるが、有機物薄膜と無機物薄膜を約3〜5回交互に行う、バイテックス(Vitex)社方式を使用する。

 

一般的に、無機薄膜封止は、プラズマ化学気相蒸着(PECVD) 、スパッタリング、ALD技術を使用することができる。有機物薄膜形成には、カチオンバーのインクジェット技術を活用する。サムスンとLG両方が無機薄膜形成工程にPECVD技術を使用しているPECVDの代わりにALD技術を導入しようとするのは、フレキシブルOLEDの寿命と性能を向上させることの必要性が大きくなったからである。フレキシブル需要が大きくなることに比べて、生産性が低下することも問題である。



ALDプロセスの基本原理。 AX物質を供給すると、基板表面に吸着されて残る余分のAXがある。 余分のAXを除去した後、BY物質を供給する。 以後反応して残った余分のBYと副産物XYが生じるが、これを削除する。 再びAX物質を供給すると反応して、残りのものが周りにいる。 このようにAX供給、予備削除、BY注入、予備除去工程を一定周期で繰り返して原子層を一層ずつ積んで所望の厚さの薄膜を製造する。

ALD技術は、化学気相蒸着法の一種である。ALD金属を含む原料と反応ガスを注入して原子単位で薄膜を成長させる方法である。均一性の高い緻密な薄膜を広い面積で成長させる。有機物を分子層単位で成長させる分子層堆積(MLD)技術と組み合わせて使用すると、低温度でも水分・酸素透過防止膜を形成することができる。

 

ALD技術を適用すると、薄膜の不純物を最小限に抑える均一な厚さに薄膜を形成することができるのが強みである。良質の薄膜を形成するため、水分と酸素からOLED材料を保護する効果が大きくなる。無機薄膜の厚さを異なるナノメートル単位で交互に積層すると、合計薄膜の厚さを最小限に抑えながら、水分透過度を非常に低いレベルで形成することができる。薄膜の組成変化も制御することができ、従来CVD方式の素材の限界を克服することができることも利点として挙げられている。

 

 

半導体業界では、微細工程のためにALD導入が活発である。しかし、ディスプレイ業界では、ALDの導入を躊躇してきた。製造装置のコストがPECVDより高いうえ、第6世代級の大面積への適用、蒸着速度の遅さが難題だったからである。最近、一定のレベルに問題を解決して、実際の導入の可能性が高まった雰囲気だ