SID 2018 において、サムスン・LG・中国のVR向けディスプレイ技術が競争


2018.05.24 ET News

 

サムスンディスプレイ、LGディスプレイ、中国、台湾パネルメーカがバーチャルリアリティ(VR)市場で異なる技術で競争になりそうである。サムスンディスプレイが赤・緑・青(RGB)の有機EL(OLED)方式、LGディスプレーがホワイトOLED(WOLED)方式をそれぞれ採用して競合した。BOEとAUOはミニLEDベースのVRで市場競争に参加した。

 

去る22日(現地時間)、米国ロサンゼルスコンベンションセンターで開かれた「SIDディスプレイウィーク2018」展示会で、LGディスプレイ、サムスンディスプレイ、中国・台湾のパネル企業は、さまざまなOLED技術方式のVRパネルを公開した。

 

これまでスマートフォン、AR・VR、スマートウォッチなど中小型パネルには、RGB OLED技術が適用されてきた。RGB OLEDはファインメタルマスク(FMM)を利用して赤・緑・青の画素をそれぞれ蒸着させる方式である。サムスンディスプレイは、スマートフォンOLEDパネルにRGB OLED技術を適用し、VRパネルもこの技術で開発している。

 

LGディスプレーとGoogleが開発した、SID 2018で公開したホワイトOLED方式VRパネル。 (写真=ET News)

 

LGディスプレーは今年初めてW OLED方式を適用した試作品を公開した。Googleと共同開発し、GoogleがVR製品として商用化すると予想される。 VRパネルは4インチ以下の小型サイズに、フルHD以上の解像度と速い応答速度などを実装する必要がある。OLEDは、超高解像度の実現に限界があり、LCDは応答速度が遅いことが限界であると指摘されてきた。超高解像度と高速応答速度の実装が難しくVR機器の使用時にめまいが発生するような問題を解決できなかった。 

 

LGディスプレーはWOLEDを適用してこの問題の解決を狙った。既存のOLEDは、538ppiの解像度にとどまったが、WOLED方式は1443ppi、UHD(3840×4800)の解像度を実現した。応答速度は6m / sである。 LGディスプレーは、RGB方式よりWOLED方式がVRでより強みがあると見て、今後の主力VR技術にWOLEDで発展させる計画である。既存のOLEDの強みを反映することができるうえ、オープンマスク方式なのでスクリーン・ドア・エフェクト(SDE)が大きく減り、一層綺麗な映像を実現することができると期待される。 スクリーン・ドア・エフェクトは、ピクセルとピクセルの間を区別する間隔のために画面が近づくほど、まるで蚊帳のようにピクセルが区分されて見える現象を意味する。TVやスマートフォンのように一定の間隔を置いて画面を見る場合は、この現象が少ないが、VR機器のように、目に近い距離にディスプレイが位置するほど、スクリーンドア効果が発生する。 

 

サムスンディスプレイがSID 2018で公開したVRプロトタイプ。 右端が1200ppiベースの2.43インチOLED VRパネルである。 (写真=電子新聞DB)

 

サムスンディスプレイはRGB OLED方法で1200ppiレベルの2.43インチVRを実現した。昨年は858ppiの3.5インチVRを展示したが、今年インチあたりのピクセル数が密になった技術を公開した。一緒に展示した3.5インチのVRは616ppiで「SDEフリー」を別々に表記したが、1200ppi製品はSDEについて別途の表記をしていなかった。 

 

中国と台湾のパネルメーカはOLEDとLCDをVRに採用した試作品を発表してきたが、今年初めてミニLEDベースの試作品を公開した。LCDバックライトをミニLEDに採用し、解像度を高めた。 

 

 BOEがSID 2018で公開したミニLEDベースの3.5インチVR機器を観客が使っている。 (写真=電子新聞DB)

 

BOEは、ミニLEDをバックライトに使用した3.5インチの4K 1850ppi VRを示した。ミニLEDを適用した3.5インチ615ppiベースHDRヘッドセットも一緒に展示した。インチあたりのピクセル数が多く、解像度が高いほど乱れ現象が減り、鮮明な画像を鑑賞することができる。

 

AUOがSID 2018で公開した2インチミニLEDベースVRプロトタイプ(写真=電子新聞DB)

 

AUOは2インチサイズのミニLEDをバックライトに使用したVRを展示した。1000ppi、1440×1440の解像度を実現した。AUOは早ければ今年末か来年初めに、ミニLEDを適用したモニターやノートパソコンを商用化する計画だ。