ケイピーエス、第8世代基板(8G)でのOLEDパネル製造用の蒸着マスク(FMM)引張装置の特許出願


2021.09.01 韓経ドットコム

 

超精密な有機EL(OLED)のプロセス装置メーカーのケイピーエスが、次世代パネルの製造技術の開発を加速している。サムスン、LGなどの主要なディスプレイ企業が既存の第6世代にとどまっていた中小型OLEDパネルの製造技術の第8世代への移行を急いでいるからである。

 

ケイピーエスは第8世代OLEDパネルに適用される「FMM(Fine Metal Mask)引張装置」、「FMMアセンブリの製造方法」の特許出願を完了したと1日に明らかにした。今回の特許は、中大型サイズFMMの位置を正確に整列した後、固定させる方法と装置に関する発明であり、今後、次世代OLEDパネル装置の商用化と量産のための重要な技術である。

 

ディスプレイ産業で「世代」は、ガラス基板のサイズをいう。コスト削減だけでなく、大量供給のためには第8世代への転換が求められている。第6世代ガラス基板サイズは横1500mm縦1850mm、第8世代は2200mm、2500mmである。

 

先にケイピーエスは、2020年2月に情報技術(IT)の「蒸着マスクと製造方法とマスク組立体を利用した有機EL装置」の特許も登録している。同年7月には、特許技術を適用したFMM製造装置を独自に開発した後、試作品まで製造した。

 

このように開発中のFMMは「セル」の単位マスクを一つずつ組み立てて、「フル」サイズのマスクを完成する方式である。この方法を適用すると、既存のIT用蒸着マスクの問題点であるマスクの表面のしわや大画面の製作時の課題を解消することができるというのが会社側の説明である。ケイピーエスは、このような方法で15インチクラスのノートパソコン用のマスクを製作し、今年の年末までに最終的な蒸着テストを終える計画である。

 

FMMはOLEDパネルの製造工程に欠かせない素材である。OLEDは、R(赤)G(緑)B(青)画素を作るのに必要な発光体(有機物)を基板に蒸着して画像を表現しなければないからだ。FMMは、これまでのスマートフォンのような比較的小さなサイズのディスプレイパネル製造に使われた。

 

キム・ジョンホOLED事業部代表は「市場が拡大され、タブレットPCやノートPCなどの中型サイズ以上のOLEDパネルを作ることができる精密な装置の開発が必要な状況」と「IT機器向けの第8世代基板の蒸着マスクの場合、引張(Streching)時には、スマートフォン製造の6世代に比べて、たわみおよびしわの発生がひどいと予想され、さらに精密な製造技術が要求される」と強調した。

 

実際にサムスン、LGなどの主要ディスプレイ企業はOLEDパネルの製造技術と関連して第8世代への移行を準備中である。LGディスプレーは来る2024年3月までにOLED増設に3兆3000億ウォンを投資することにし、サムスンディスプレイも、アップルのアイパッド用OLEDを供給(2023年初め)する予定であることが分った。

 

ギムハヨンケイピーエス総括代表は「第8世代OLEDの重要技術の研究開発を先行させ」と「市場を先取りするために、特許出願に加えて、本格的な投資を始めた」と述べた。

 

ケイピーエスの今年上半期末基準の国内特許登録件数は19件、特許出願は3件である。昨年10月に米国で「垂直型の蒸着装置のためのマスクフレーム組立装置(引張機)及びその方法に関する技術」の特許を登録している。