サムスン89インチマイクロLEDテレビ、今年に発売


○2023.01.04 the Elec

 

サムスン電子が2022年に発売できなかったLTPS TFTベースのマイクロLEDテレビを、今年発売すると予想される。昨年下半期に生産スケジュールが具体化された。まず2023年2月に、LTPS TFTベースの89インチマイクロLED TVの試作に入り、第3四半期量産する予定だ。

 

4日、業界によると、サムスン電子が89インチマイクロLED TVを第3四半期に量産する計画を立てたと把握された。2023年1月に開発審議を進め、2月の試生産を経て第3四半期本格量産するという日程である。

 

サムスン電子の89インチマイクロLEDテレビは、基板方式が既存のプリント回路基板(PCB)から、ガラス基板ベースの低温多結晶シリコン(LTPS)薄膜トランジスタ(TFT)に変わる初の製品である。LTPS TFTでは、より小さな画面マイクロLEDで個々の駆動回路を実現できる。従来のPCB配線基板では、マイクロLED画面を小さくしつつも、従来と同様に4K(3840x2160)解像度をサポートする微細回路(個別駆動回路)の実装が難しい。

 

89インチマイクロLED TVのTFTは台湾AUOとサムスンディスプレイが量産する予定だという。製品の試作にはAUOが優先対応し、第3四半期の量産過程でサムスンディスプレイが参加すると予想される。

 

サムスン電子は2022年に、LTPS TFTベースのマイクロLED TVラインナップで89インチと101インチ、114インチなど3種を計画したが、いずれも発売できなかった。114インチモデルは当初から生産計画が不明であり、101インチモデルは2022年下半期の生産計画から消えたが、89インチモデルは発売されるという見通しが優勢だった。

 

89インチモデルの生産日程も2022年5月頃から第3四半期に延期されたが、サムスン電子が最上位プレミアムTVラインナップで推進しているマイクロLED TV新製品を2022年に1機種でも発売するという期待があった。しかし、結局は89インチ製品の発売も年を超えた。

 

89インチマイクロLEDテレビの発売遅延原因は技術難易度にあると推定されている。マイクロLEDテレビは、同じ解像度をサポートする場合、小さな製品であるほど製造が難しい。マイクロLEDチップをより密に転写(Transfer)すると、不良を修理(Repair)することとも面積が狭いほど難しくなる。

 

サムスン電子が89インチモデルに適用する予定のマイクロLEDチップサイズも34×85マイクロメートル(um)で、従来よりも小さい。先にサムスン電子が2020年に発売した146インチモデルのチップサイズは125×225um、2021年に発売された110インチモデルのチップサイズは75×125umだった。チップが小さいと製作の難度はさらに上がる。

 

サムスン電子が2022年に、マイクロLEDテレビラインナップ3種(89・101・114インチ)の中で製作が最も難しい89インチから発売する計画を立てたのは、既存モデルとの市場相互浸食を避ける意図だったという。89インチモデルが2021年に発売されたPCBベースの110インチモデルと差が最も大きい。 

 

製品の普及のため、2022年の89インチモデルの価格は8万ドル(約1億ウォン)と暫定的に決定された。従来のPCBベースの110インチモデル価格1億7000万ウォンより低い。また、100インチ以上超大型TV・サイネージ市場ですでに検証済みのマイクロLED製品を89インチで発売すれば製品拡張性を高めることができる。