サムスンがQD-OLED TVパネルをソニーに供給


2021.10.25 朝鮮Biz

 

ソニーがサムスンディスプレイのTV用量子ドットの有機EL(QD-OLED)パネルを購入することが決定した。最近まで適合性試験を行ったソニーは、QD-OLEDの商品化の可能性があると判断し、QD-OLED TVを製造することにした。早ければ11月中旬サムスンディスプレイQD-OLEDパネルが、ソニー側に供給されるものと思われる。

 

25日、日本の電子業界関係者によると、ソニーは昨年からサムスンディスプレイのQD-OLEDの試作品の商品化の可能性を検討した。ソニーは今月中に、サムスンディスプレイ側にQD-OLEDスペックが記載された承認書を発行する予定であり、サムスン電子も同じ時期に承認を発行することが分かった。当初の試作を検討した中国企業は、初期顧客に入らないと思われる。

 

ソニーとサムスン電子の承認書を受け取るサムスンディスプレイは、各顧客の要求仕様に応じて11月初めから牙山キャンパスQ1生産ラインにパネル製作に必要な材料を投入する。続いて11月中旬ごろQD-OLEDパネルの量産を開始する。

 

韓国で作られたQD-OLEDパネルはモジュールプロセスを行うためにベトナムに輸送される。モジュールプロセスはディスプレイが最終製品で駆動できるように複数の部品を装着する工程で、プロセスが終わったQD-OLEDパネルモジュールはベトナムのサムスン電子テレビ工場とマレーシアソニーテレビ工場などに最終供給される。

 

ソニーのQD-OLED採用は、プレミアムTV市場での立場を強化する目的が大きい。ソニーはプレミアム製品群にすでにOLED TVを販売しているが、ラインナップの拡張の限界に封着した状況である。業界関係者は「プレミアム製品群の拡大でグローバル市場でサムスンとLGに遅れたソニーが(QD-OLEDを通じて)これを取り返す戦略を展開する」と話した。

 

サムスンディスプレイはQD-OLEDパネルを牙山Q1生産ラインで月3万枚量産する。これは55インチと65インチテレビを約100万台作ることができる量である。現在、サムスン電子とソニーに納品されるパネルの量がそれぞれどのくらいかはわかっていないが、業界はサムスン電子側の供給比重が少し多いと把握している。

 

サムスンディスプレイのQD-OLED供給が本格化すれば、LGディスプレイのTV用OLEDパネル独占供給体制は変化を迎えるものと見られる。現在、全世界のテレビ用OLEDパネル供給の99%はLGディスプレイの役割だが、この構図が壊れる可能性が高い。LGディスプレイは白色を出す素子が発光源であるW(ホワイト)-OLED、サムスンディスプレイは青色の光を放つ発光素子で構成されたパネルにクォンタムドット(量子ドット)とカラーフィルムを付加したQD-OLEDと技術的な差があり、性能競争も激しいと思われる。

 

これに先立ち、2019年8月、イ・ジェヨンサムスン電子副会長はサムスンディスプレイの牙山キャンパスを訪問し、「今は液晶(LCD)事業が難しいが、大型ディスプレイを放棄してはならない」とし「新技術開発に拍車をかけ、新たな未来を先導しなければならない」とした。2ヵ月後の2019年10月、李副会長はQDディスプレイ開発のために2025年までに工場に10兆ウォン、研究開発(R&D)に3兆1000億ウォンなど合計13兆1000億ウォンを投資すると明らかにした。この副会長が直接に指示するほど関心を注いでいるという点で、QD-OLEDを含むQDディスプレイは「JYディスプレイ」とも呼ばれる。

 

LGディスプレイはTV用OLEDの独占供給体制が壊れることについて懸念よりは期待を示している。サプライヤーが一つだけの市場は拡大余地が少ないためだ。会社関係者は「LGディスプレイだけでTV用OLEDパネルを供給するよりも、複数の企業が参入して市場が大きくなり、多くの価値を創出できるようになる」とし「技術競争で、より多くの価値を作り出すことができると思う」と述べた。

 

全世界のOLED TV市場の半分を占めているLG電子も、競合他社の市場追加進出を歓迎するという立場だ。李正熙LG電子HE経営管理担当常務は「液晶(LCD)TV市場での競争がOLEDに移ればOLED市場内で強力な市場支配力を確保したという点が優位戦略として作用する」とし「こうした市場支配力を基盤に持続的な製品差別化を推進し、市場優位を確保する」と述べた。