サムスンも55インチ用のインクジェット印刷パイロット装置を導入...次世代TV向けパネルの開発を加速


2017.06.13 ET News

 

サムスンがパイロット用のインクジェット印刷装置を導入し、次世代TV向けディスプレイの開発に乗り出す。次世代の量子ドット発光ダイオード(QLED)TVや大型有機EL(OLED)TVの開発を加速するものと注目される。サムスンはこれまで大型TVに液晶(LCD)パネル搭載を継続してきた。

 

12日、業界によると、最近、三星総合技術院とサムスンディスプレイがパイロット製造用のインクジェット印刷装置1台を発注した。新しく発注したパイロット装置は、55インチの一枚のサイズを製造することができる小型装置である。LCDパネルは、現在の第8世代ガラス基板から55インチを一度に6枚を生産している

 

55インチの一枚を生産するインクジェット印刷装置は、最近では、中国のBOEも導入した。一度に55インチ仕様の一枚を印刷する装置は、研究開発(R&D)はもちろん、少量生産にも有利である。

 

サムスン電子は、次世代TVパネル技術でQLED(QD-LED)では材料、発光構造など全般にわたってまだ多くのR&Dを行うべきだと述べている。QLEDはOLEDと発光層、輸送層など、全体の構造は、似てるが、有機物の代わりに無機物である量子ドット(QD・量子ドット)を適用する新しいディスプレイ技術である。

 

QDについて、R&Dサムスン総合技術院の関係者は、最近のセミナーで「QLEDは構造がOLEDと似ているが、有機物を発光材料として使用されるOLEDとは異なり、発光層に無機物であるQDを使用するため、無機物と有機物の相互作用を最適化するが課題」とし「技術難度が高く、この問題を解決するには時間がかかる」と説明した。 

 

サムスン総合技術院は、2002年にQDの R&Dを開始し、QLED開発にも優れていた。2011年までに研究を継続したが、後に中断した。その代わりに、カドミウムを含まないQDを研究して商用化するために集中した。昨年、次世代TVディスプレイ技術でQLED研究を再開した。

 

業界ではサムスンが55インチ用パイロットインクジェット印刷装置搬入を決定することについて解釈が分かれた。スマートフォン用OLED生産に集中してきたサムスンディスプレイがインクジェット印刷技術を使用して、OLED TVパネル事業の準備に乗り出したという分析が優勢だ。 

 

一部では、QLED TVパネルの開発用という見通しも出ている。QDが溶液の形態の材料であるため、QLEDパネルを生産するには、インクジェット印刷工程が必須である。これまで内部で小型QLED R&Dをしてきたが、大型55インチの範囲を拡大し、研究を継続することができるというものである。 

 

業界関係者は「サムスンが中小型フレキシブルOLEDに集中投資しており、次世代の大型パネル技術の確保には、優先度が低いのではないかという懸念が提起し続けてきた」とし「どのような方法でも、大型TVパネル技術を準備するしかないだろう」と述べた。