サムスンディスプレイ、JDIのeLEAPをテスト、来年に結論が出る


2022.10.21 The Elec  

 

サムスンディスプレイとJDIがFMMを必要としない「eLEAP」技術をテスト中で、結果は来年にわかるだろうという見通しが出た。サムスンディスプレイは、IT用第8世代OLEDディスプレイ市場向けにJDIの新技術に関心を示した。

 

市場調査会社オムディアのカン・ミンス首席研究院は21日、ソウルヤンジェで開かれた「2022年韓国ディスプレイカンファレンス」で「サムスンディスプレイとJDI(ジャパンディスプレイ)がeLEAP技術をテストしている」とし「結果は来年に分かるだろう」と予想した。 。サムスンディスプレイは、IT製品用の第8世代有機EL(OLED)技術を開発するために、既存の第6世代のようにファインメタルマスク(FMM)を使用する方式を含め、いくつかの技術を検討していることが分かった。

 

JDIは今年5月にFMMなしで半導体露光プロセスを使ってOLEDを蒸着するeLEAP技術を発表した。JDIは、FMMを使用する既存の中小型OLEDと比較して、eLEAPが開口率は2倍、最大明るさは2倍、寿命は3倍まで拡大すると主張した。またJDIはFMMは6世代まで対応可能だが、eLEAPは8世代以上でも活用できると強調した。韓国内業界ではeLEAP技術が商用化されるには時間が必要であるという評価が優勢だ。

 

カン・ミンス研究員もeLEAPに対して「興味深い技術だが費用などを考えなければならない」と明らかにした。彼は「eLEAPはメタルマスク(FMM)の代わりにフォトレジストを使って赤(R)緑(G)青(B)サブピクセル別にパターニングして蒸着した後、エッチングする工程を順番に繰り返す方式」とし「メタルマスクと比較して(eLEAPの)サブピクセルのピクセルサイズが大きくなり輝度が高くなり、寿命も増えるのは明らかな利点」と明らかにした。 

 

それにもかかわらず、カン研究員は「メタルマスクはサブピクセルを蒸着するだけでよいが、フォトレジストを使用すればサブピクセル別に露光工程が一組ずつ入るため、投資コストが増える」とし「理論的に面白い技術なのに実用性・コスト面でメリットがあるかは実験してみるべきだ」と付け加えた。 

 

これに先立ち、第3四半期、サムスンディスプレイの幹部の関係者は、半導体・ディスプレイ製造装置企業のアプライドマテリアルズ(AMAT)本社を訪れ、JDIのeLEAP技術とマイクロディスプレイなどを議論したことが分かった。当時、業界ではサムスンディスプレイが競合他社であるJDIに直接問い合わせるのが困難で、製造装置の協力会社のAMATにeLEAPを間接的に聞いたことがある。AMATがJDIに垂直蒸着装置などを納品しているため、eLEAPの評価資料を保有している可能性がある。

 

FMMは自重のために中央部位が下に垂れ下がることを最小限に抑え、数百回以上繰り返し使用できる必要があるため、技術難度が高い。この市場はDNP(大日本印刷)が独占している。サムスンディスプレイなどが開発中のIT用第8世代OLEDもFMM技術が難題だ。 

 

サムスンディスプレイは、国内外のパネルメーカーの中で最も先にIT用第8世代OLEDに投資すると予想される。早ければ年内に装置発注が予想される。最初のIT用第8世代OLEDラインではRGB発光層が1層のシングルスタックOLED、第2ラインでは発光層が2層のツスタックタンデムOLEDを量産する計画だ。