サムスンディスプレイ、印刷ベースQDCF技術と酸化膜TFT技術の確保が課題


2018.06.24 ET News

 

サムスンディスプレイはQD- OLED TVパネル製造に、初めてインクジェット印刷技術の導入を決定した。まだパイロット生産レベルだが、約1年間の技術の検証を経て、安定性を確保できれば、量産導入する可能性がある。OLED材料での印刷の導入を検討する競合他社とは異なり、既存の蒸着方式に最適化されたOLEDとインクジェット印刷に最適化されたQDの両方を適用するハイブリッド方式で差別化して、技術のパラダイムを変えて、市場をリードするという戦略である。 

 

業界では、サムスンディスプレイがQD-OLED TVパネルの量産技術を確保すれば、ホワイトOLED(WOLED)技術を持つLGディスプレイを脅かすことができると予想した。従来のOLED TVよりも広い色再現性を持つようになり、BT2020基準や8Kの解像度を満たすのが容易になるからである。10以上の複雑な有機層で設計されたホワイトOLEDよりも、構造が単純なことも利点である。 

 

しかし、QD- OLED量産性を備えるためには、まだ解決すべき課題が多い。

 

まず量子ドットのカラーフィルタ(QDCF)技術を確保しなければならない。サムスン電子総合技術院でQDCF技術を続け、研究開発しているが技術難度が高い。QDとカラーフィルターを混合して一体型に実装する技術、カラーフィルタとQDを塗布する技術などが挙げられる。

 

サムスンディスプレイは、まず、インクジェット印刷装置を用いてQDとカラーフィルタに印刷する方法を採用したという。カラーフィルタ材料とQDを混合して一体型に実装すると材料特性が低下するなどのいくつかの問題が発生するからである。 

 

OLED材料の中で寿命と発光効率が最も低い青色材料を主光源として使用することも問題として挙げられる。青色OLED材料の使用量を増やして厚く重ねて積層することで、寿命の問題をある程度は解決することができる。しかし、青色OLED自体の寿命と効率が改善されなければなら根本的な問題を解決することはできない。 

 

酸化薄膜トランジスター(TFT)の技術的な問題も解決しなければならない。サムスンディスプレイもオキサイド技術開発の経験があるが、過去のRGB方式OLED TVを開発する際に、低温多結晶シリコン(LTPS)TFTを適用した。第8世代でのオキサイド量産経験がLGディスプレーより不足しているので、QD-OLED技術が安定になっても、ややもするTFT技術に足を引っ張られるという評価が出ている。 国内外の競合他社が第10.5世代の投資に悩んが、サムスンディスプレイが10.5世代の研究開発に重点を置いていないことも、オキサイドTFT技術の問題だという分析も出ている。 

 

ある関係者は、「第8世代オキサイドTFTの量産経験が豊富なLGディスプレーも、10.5世代OLED量産の最大の障害で10.5世代のバックプレーンを挙げるほど難しい技術」とし、「第8世代の経験が少ないサムスンディスプレイの立場では、10.5世代に直行するには負担が高いうえ、世界初のQD-OLEDに挑戦するものであり、危険性が加味される」と述べた。 世界初挑戦する新技術が多くの商用化までの困難が予想されるが、次世代技術の確保するということでは肯定的な動きという評価がされている。韓国が世界の大型パネル市場で新技術に競争パラダイムを変えていく功を奏した役割をするという期待がある。