サムスンディスプレイのQD-OLED事業の現状


2021/2/11 UBIリサーチ

 

2月3日の韓国電子新聞でサムスン電子がサムスンディスプレイのQD-OLEDをTVに搭載し、サムスンディスプレイはサムスン電子にLCDの供給を延長するという報道が出た。この報道はサムスン電子とサムスンディスプレイのコラボレーションによってQD-OLEDの商用化が急流に乗ると予想した。この記事は、サムスンディスプレイがQD-OLED市場を確保することができる内容であるので、QD-OLED製造設備の追加投資や材料の大量購入が予想される朗報だった。

 

しかし、2月4日IT朝鮮でサムスン電子ハンジョンフイ社長は、電子新聞の記事が事実ではないことを明らかにした。この報道は、サムスンディスプレイのQD-OLED商用化はまだ長い道のりがあることを意味する。さらにこの記事を拡大解釈すれば、他のセットメーカーは、サムスン電子がQD-OLEDを使用していないのは、サムスンディスプレイの製造技術力がまだ不足していると認識することができる。

 

サムスンディスプレイがLCDの代替大型ディスプレイ事業としてQD-OLEDの開発と事業化に力を注いできた。サムスンディスプレイはQD-OLED事業化に13.1兆ウォンを投資することを2019年12月に決定した。2020年には65インチの8K QD-OLED量産を推進したが、顧客の要請によって4K QD-OLEDに目標を修正し、製作されたQD-OLEDパネルをソニーとパナソニックなど送り評価を受けてきた。サムスン電子は、2020年の年末からQD-OLEDパネルの評価を開始した。

 

サムスンディスプレイのQD-OLED事業に否定的見解が肯定的なものよりも、徐々に大きくなっている。

 

一番目の不安時刻は、サムスンディスプレイがまずTV用65インチ4Kパネルの生産に集中するという点である。サムスンディスプレイの初期QD-OLED事業計画は、65インチの8Kパネルとモニター用32インチ4KパネルをMMG方式で製作することだった。65インチのパネルを4Kに変更すると32インチ4KはMMGで生産ができなくなる。つまり、32インチを4Kに生産するためにはMMGを使用することができず、65インチ4Kと一緒に生産すると32インチは2Kになってプレミアムモニター市場に入るのは難しい。65インチ4K QD-OLEDだけ生産する材料を使用効率が非常に低く、製造コストの上昇により事業性が悪くなる。

 

さらにセットメーカーは、QD-OLED購入価格はWRGB-OLED購入値段と同じに要求しており、QD-OLED生産時に赤字から抜け出すことが難しくなる。

 

二番目は、追加投資がなければ30Kで生産可能な65インチQD-OLEDパネルが年間80万台レベルになるため、顧客の確保が容易ではないという点である。Sonyは、現在のレベルのサムスンディスプレイキャパでは必要な量を買うのができないので、TVプロモーション費用や開発費の還收が難しいという点に言及した。

 

三番目は、今年から生産されるLGディスプレーのWRGB OLED性能が大幅に改善された点である。QD-OLEDのfull whiteは250nitなのでWRGB OLEDより優れたものと調査されたが、TVはfull whiteよりtypical intensityがより重要である。この点では、WRGB OLEDがQD-OLEDより優れている。QD-OLEDがWRGB OLEDに比べて相対的に優位にある性能はcolor gamutが良い1点だけである。