サムスン電子のQD vision買収で、自発光のQLED商用化を早めることができるか


2016年11月24日 UBIリサーチ

 

21日、業界によると、サムスン電子は最近、QD vision買収に参加して、優先交渉対象に選定されたことが確認された。サムスン電子が提案した買収金額は7000万ドルであり、業界では遅くとも来週くらいに最後の合意に達するものと見ている。

 

Quantum dotはサイズに応じて色が選べる物質で、サムスン電子は、世界初の液晶バックライトユニットにquantum dot シートを適用して色再現率を向上させたSUHD TVをプレミアムTV市場に提供しており、中国企業も積極的に同様な製品発売をしている。

 

MIT出身の研究者らが設立したQD visionはカドミウム系quantum dot分野では技術力の高い専門企業で、最近では、非カドミウム素材も発表している。業界では、サムスン電子のQD vision買収がquantum dot TV市場の拡大とともに、自発光のQLEDの実用化を早めるための基礎と見ている。

 

QLEDはOLEDに比べて酸素と水分の影響が少なく、半値幅が狭くて色純度の高いパネルの実現が可能と期待を集めているが、開発の初期段階にOLED材料と比較して非常に低い発光効率と寿命が課題とされている。また、quantum dot中心体に使われるカドミウムは有毒が強い発がん性物質として、QD visionやNanoco、Nanosquareの企業では、カドミウムを含まない材料を開発中であるが、カドミウム含有の素材に比べて性能が低い。したがって、業界では、自発光のQLEDが量産に適用されるまでには少なくとも5年以上かかると予想している。

 

これと関連し、ソウル大学イ・チャンヒ教授は10月にUBIリサーチが主催した「QLEDとsolution Process OLED市場への参入の可能性の分析やセミナー」で「大規模な投資と人材が投入されれば、予想より早い時期にQLED製品を見ることができるとみられ、OLEDと構造が似ていて、参入障壁が低くなる可能性がある」と述べた。

 

サムスン電子のQD vision買収が、大規模な投資の出発点となってQLED商用化を早めることができるか、そしてディスプレイ産業にどのような影響を与えるか成り行きが注目されている。