中国企業の大型OLEDパネル製造の投資はいつ決まるか


2022.09.12 The Elec

 

BOEやCSOTなど中国パネルメーカーは全世界のLCD市場を掌握し、中小型OLEDパネルでも韓国を追撃中だ。しかし、大型OLEDパネル製造にはまだ本格投資していない。現在量産中のLGディスプレイのW-OLEDと、サムスンディスプレイのQD-OLEDの2つの大型OLED技術の中から選択が容易ではないからだ。年末にサムスンディスプレイのQD-OLED追加投資が決定すれば、中国パネルメーカーの大型OLED投資方向性も決定される見通しだ。

 

12日、業界によると、中国ディスプレイメーカーの大型有機EL(OLED)投資の方向性は今年末は過ぎて輪郭が取れる見通しだ。BOEやCSOTなど中国の代表的パネルメーカーは全世界の液晶パネル(LCD)市場を掌握したのに続き、中小型OLEDでも韓国を追撃中だが、まだ大型OLED投資計画を具体化していない。

 

CSOTは2020年に日本のJOLEDと協力してインクジェット印刷方式で大型OLED事業を推進すると明らかにしたが、まだ具体的な計画は出ていない。昨年11月、CSOTは自社イベントでインクジェット方式で作った大型OLEDパネル試作品を公開したが、昨年に着工するT8プロジェクトの具体的な日程は明らかにしなかった。

 

業界ではCSOTはもちろん、BOEが大型OLED技術でLGディスプレイのホワイト(W)-OLED方式とサムスンディスプレイのクォンタムドット(QD)-OLED方式のうちで、まだ決定を下していないと解説する。LGディスプレイW-OLEDは白色発光源と赤(R)緑(G)青(B)カラーフィルターを使って色を具現し、サムスンディスプレイQD-OLEDは青色発光源とQD色変換層を使って色を表現する。技術方式が異なるだけに必要な製造装置も少しずつ異なる。大型OLEDではまだ標準がないわけだ。

 

このため、年末にサムスンディスプレイのQD-OLED追加投資が決定すれば、中国パネルメーカーの大型OLED投資方向性も決定されるという観測が出ている。サムスンディスプレイは現在、Q1ラインで8.5世代(2200x2500mm)ガラス原版投入基準月3万(30K)枚レベルの生産能力を保有しているが、月30K水準の追加投資の可否が年末に決定されるという見通しが優勢だ。

 

京畿坡州と中国広州工場に8.5世代ガラス原版投入基準月180K規模の生産能力(2021年基準)を保有するLGディスプレイとサムスンディスプレイが競争するにはQD-OLED生産能力を拡大しなければならない。サムスンディスプレイが開発中の次世代大型ディスプレイ技術クォンタムドットナノロッド発光ダイオード(QNED)がパイロットライン設置を遅らせた点は、QD-OLED追加投資に肯定要因として作用することができる。

 

BOEとCSOTの選択も関心事だ。サムスン電子の液晶テレビパネル市場でシェアが減っているBOEとは異なり、CSOTはこの市場シェアが増えている。同時に、サムスンディスプレイがCSOT持分を一部保有しており、CSOTに2000件のLCD特許を移転するなど、CSOTが比較的サムスンに近い。

 

CSOTが2020年にインクジェットプリント方式の大型OLEDに投資すると発表したが、サムスンディスプレイがQD-OLEDに追加投資すれば、CSOTはQD-OLED方式で大型OLED事業を展開するという観測が業界から出てくる。CSOTの親会社であるTCLは主要TVメーカーの中で唯一OLED TVラインナップがなく、LCDパネルにQDシートを貼る「QLED」TVラインナップは保有している。

 

サムスンディスプレイのQD-OLED追加投資鍵はサムスン電子が握っている。世界中のテレビ市場1位のサムスン電子の今後のOLED TVラインナップ計画が、サムスンディスプレイQD-OLEDの追加投資に影響を及ぼす。LGディスプレイのW-OLED追加投資や出荷量の拡大にもサムスン電子が大きな影響を及ぼす可能性がある。昨年、LGディスプレイでLG電子(410万台)を除いてW-OLEDを100万台以上購入した顧客会社は日本ソニー(130万台)が唯一だ。今年QD-OLEDパネルを適用してOLED TVを初めて発売したサムスン電子の選択により、大型OLED部門で韓国内の2パネルメーカーの追加投資、そして中国パネルメーカーの投資方向性が決定されるものと見られる。