中国向けのリジッドOLEDが急増で、サムスンディスプレイの稼働率回復


2019.06.24 ET News

 

スマートフォンのディスプレイ市場での熾烈な価格競争で、販売が低迷していたリジッド有機EL(OLED)パネルが、再び増産に転じている。低温多結晶シリコン液晶(LTPS LCD)とデザインの差別性が乏しく、価格も比較的高く、液晶との競争で押され気味であったが、OLEDのみ実装することができる機能が人気を得て、再び中国を中心にリジッドOLED需要が増加している。

 

24日、業界によると、世界のリジッドOLED市場向けの大部分の製品を供給しているサムスンディスプレイの生産ラインは、最近に稼働率が回復した。

 

2018年第4四半期の稼働率が50%前後で低迷したが、2019年第1四半期から回復を始め、第2四半期には平均稼働率80%を上回っほど活発に生産している。リジッドOLEDを製造するA2ラインの稼働率が90%台後半に達するほどの生産体制を維持しているとの情報もある。

 

リジッドOLEDは、中国のスマートフォンメーカーがプレミアムモデルに採用したので、生産量は増大した。しかし、2017年と2018年にかけてLTPS LCDの供給過剰でパネル価格が下落し、リジッドOLEDの成長にブレーキがかかった。

 

新しいノッチデザインがOLEDだけでなく、LTPS LCDでも実現できるので、OLEDとLCDの間のデザインの差別化が無くなった。中国のスマートフォンメーカーがリジッドOLEDでノッチデザインを実現することで期待を集めたが、実際にはLTPS LCDのプレミアムスマートフォンを製品化する現象が起こった。

 

2019年に再びリジッドOLEDが注目された理由は、OLEDのみ実装することができる「ディスプレイ内蔵指紋(Fingerprint on Display・FoD)」である。

 

指紋認証は、スマートフォンの前面下部の別のボタンに存在したが、現在はディスプレイに内蔵され、そのためにフルスクリーンを実装することができるようになった。ベゼルを最小化したフルスクリーンのプレミアムスマートフォンのトレンドとして浮上したFoDが人気を得たので、中国メーカもFoDを先を争って採用している。

 

FoDは光学式と超音波式に分けられる。リジッドOLEDは光学式のみ実装することができ、超音波式は不可能である。一方、フレキシブルOLEDは、超音波式と光学式の両方を実装することができる。液晶(LCD)は、バックライト構造のためFoDを実装することが不可能である。

ディスプレイの種類別FoD技術の説明(資料=サムスンディスプレイニュースルーム)

 

市場調査会社DSCCによると、サムスンディスプレイ、Visionox、EDOなど、リジッドOLEDを製造するメーカーの稼働率が、2019年第2四半期で平均80%台を維持している。LTPS LCDとの価格差が減り、大画面フルスクリーンの需要が増加し、採用が増えた。

 

市場調査会社ストーン・パートナーズは、小米にサムスン電子がリジッドOLEDの供給を開始し、出荷が回復したと分析した。第1四半期ベースで、サムスンディスプレイのリジッドOLED出荷量が前四半期より約1000万枚増加し、6100万枚を記録したと見た。サムスンディスプレイは、世界リジッドOLED市場で約90%を製造している。