有機ELディスプレイ分野でのBOEの戦略的な追撃


2021/11/4 UBIリサーチ

 

中国ディスプレイメーカーのパネル製造技術は韓国と日本技術のコピーで作られてきたが、事業についてだけは徹底的に中国式の戦略的な方式で推進されている。代表的な戦略的パネルメーカーはBOEだ。

 

LCD生産量最大に上がったBOEは、oxide TFTでLCDを生産するCES Pandaの8.5G工場を買収した。 Oxide TFTはLCDで使用されているが、OLEDやQNED、mini-LEDなどでより価値がある。LGディスプレイのwhite OLEDとサムスンディスプレイのQD-OLEDとQNEDはどちらもoxide TFTを使用している。OLED TVがプレミアムTV市場で大勢になるとすぐに、BOEとCSOTは大型OLED事業投資の検討に着手した。 そして最近では韓国のtandem OLED開発経験者をスカウトするためにヘッドハンターが活発に動いている。

 

BOEがOLED事業で最も重点を置いている部分はApple向けflexible OLEDだ。 B7はすでにすべてのラインで生産されているflexible OLEDをAppleに供給する準備を終えており、B11、B12、B13もApple専用工場に改善している。まず目標はiPhone13にLTPS OLED供給をはじめ、LTPO OLEDまで市場を狙っている。今年はAppleで品質について承認を受けたので、約500万台程度のiPhone13用OLEDを供給すると予想される。

 

BOEの最も怖い点は時間を待つということだ。まだ製品特性や歩留まりでサムスンディスプレイやLGディスプレイに追いついていないが、時間が経つといつかすべての技術を習得して収率と性能を上げることができると信じている。そのため、歩留まりが一定レベルに達すると、サムスンディスプレイやLGディスプレイより低い価格でAppleを攻略するということだ。

 

もちろんBOEは今年からサムスン電子のスマートフォンにもflexible OLEDを供給する。供給価格は40ドル以下で、rigid OLEDと差があまり出ない。Appleが年間販売する2.2億台程度のiPhoneをすべてOLEDに置き換えるとすでに公言している。 サムスンディスプレイは最高級仕様のLTPO OLEDラインを徐々に増やしていく。 サムスンディスプレイの来年6G LTPOラインキャパは105Kまで増設される予定だ。 しかし、LGディスプレイはLTPSラインだけで45K程度に過ぎない。 これに対してBOEはLTPSラインが192Kに増設される。

 

BOEのflexible OLED製造実力が向上すれば、サムスンディスプレイとLGディスプレイのスマートフォン用flexible OLED事業は競争力が急激に下落する可能性がある。時間を待つ優位性と資本力で構成されたBOEの戦略から抜け出すことができる新技術と投資だけが韓国のディスプレイ産業が持続成長できる要素になるだろう。