サムスンディスプレイは、付加価値の高いIT用OLEDの生産を通じて収益性を強化する


2023.07.07 UBIリサーチ

 

中国パネルメーカーのflexible OLEDの低価格攻勢により、A2ラインの稼働率が低下しているため、サムスンディスプレイはタブレットPCやノートパソコン用パネルの生産に集中するものと見られる。

 

5日、ソウルで開催された「2023 OLED&Micro Displayアナリストセミナー」で、UBIリサーチのイ代表は、「IT OLED産業の動向と市場展望」についてプレゼンテーションを行った。

 

イ代表は、「サムスンディスプレイは、中国パネルメーカーの低価格攻勢によって減少しているA2ラインの稼働率を補完するために、タブレットPCやノートパソコン用のリジッドOLEDの生産に集中するように見える。IT用のOLED生産に集中することで、スマートフォン用のリジッドOLEDの出荷量は急減するかもしれないが、付加価値の高いIT用のリジッドOLEDの生産によって収益を維持することが可能である」と述べた。「サムスンディスプレイは2026年からIT用のOLED量産を開始する予定であり、LGディスプレイはサムスンディスプレイより1年遅く、BOEはサムスンディスプレイより少なくとも2年遅く量産を開始するだろう」と予測した。

 

イ代表の言葉によると、LGディスプレイはLCDからOLEDへの切り替えが遅れて赤字が発生し、新規ラインへの投資資金の確保が困難であり、決定が遅れている。それにもかかわらず、LGディスプレイは2026年からAppleにIT用パネルの供給が可能と予想されている。ただし、まだ生産能力が検証されていないSunicシステムの蒸着装置のプロセス安定化や収量確保など、解決すべき課題が残っている。

 

BOEはスマートフォン用のOLEDライン工場を3つ投資しているが、稼働率は1つの工場にとどまっており、Appleの需要確保が不十分で、北京市政府は過剰投資に対して大きな不満を抱いている。前述の理由とIT用OLEDの顧客確保が決まっていないため、BOEのIT用OLEDラインへの投資には少なくとも2年かかると予想される。

 

この代表は、「中国パネルメーカーは低価格攻勢で市場シェアを拡大しようとしているが、サムスン電子やAppleなどの大手顧客を確保した国内企業が競争で圧倒的に有利である。今後、TVとIT用OLED産業は韓国企業を中心に展開される」と強調し、発表を終えた。