LGディスプレイ、車両用ハイブリッドOLEDを2025年から生産


2023/08/14  The Elec

 

LGディスプレイは、2025年から車載用ハイブリッドOLEDの生産が予想されています。LGディスプレイは、車載用ハイブリッドOLEDが従来の車載用フレキシブルOLEDよりも低コストな製品であると見なしています。2025年の生産目標として、LGディスプレイは車載用ハイブリッドOLEDを開発中で、サイズは24.2インチから7.2インチまでさまざまです。

 

市場調査会社OMDIAによると、車載用ハイブリッド有機ELディスプレイ(OLED)は、2025年に市場参入すると予測されています。OMDIAによれば、LGディスプレイは2025年の生産を目指し、15.19インチ、13インチ、11インチ、7.2インチ、24.2インチのセンタースタックディスプレイ(CSD)を開発中と発表しました。最初の適用先は、欧州の自動車メーカーである電気自動車が有力です。

 

ハイブリッドOLEDは、ガラス基板に薄膜封止(TFE)を適用する方法を指します。LGディスプレイが現在量産中の車載用OLEDは、ポリイミド(PI)基板に薄膜封止を適用したフレキシブルOLED製品です。PI基板を使用するフレキシブルOLEDよりも、ガラス基板を使用するハイブリッドOLEDの製造コストは低いです。フレキシブルOLEDは、キャリア用ガラス基板の上に液体状のPIバーニッシュを形成し、硬化してPI基板を作成し、次にキャリア用ガラス基板をレーザーリフトオフ(LLO)プロセスで再び剥離する必要がありますが、ハイブリッドOLEDではこのプロセスが不要です。

 

また、LGディスプレイとサムスンディスプレイがAppleのiPad用に開発しているハイブリッドOLEDとは異なり、LGディスプレイの車載用ハイブリッドOLEDは、ガラス基板(下側)の追加エッチングが必要ないため、関連コストがかかりません。ハイブリッドOLEDを適用するiPad OLEDは、製品を薄くするために0.5T(mm)の厚さのガラス基板下面を0.2T(mm)の厚さの「ウルトラスリム(UT)基板」にエッチングする必要があります。

 

LGディスプレイは、今年初めのCES期間中に車載用ハイブリッドOLEDを「ガラス基板を使用した合理的な価格帯の新製品」として「ATO(Advanced Thin OLED)」と紹介しました。LGディスプレイは、低価格な車載用ハイブリッドOLEDを生産することで、車載用OLEDの普及を期待しています。LGディスプレイは車載用OLEDに2層の発光層を持つツースタックタンデム(Two Stack Tandem)構造を採用しています。

 

LGディスプレイは今年初めのCES期間中に、「車載用有機ELディスプレイ(OLED)の供給拡大を目指すためにガラス基板を使用した合理的な価格帯の新製品」として'ATO(Advanced Thin OLED)'を紹介しました。ATOはハイブリッドOLED製品を指します。LGディスプレイはATOが「通常のガラス基板のOLEDよりも20%薄い」と説明しています。(出典:LGディスプレイ)

 

 

同様に、Samsung Displayも車載用ハイブリッドOLEDの研究開発(R&D)を進行中です。Samsung Displayが量産中の車載用OLEDは、ガラス基板にガラス封止を適用するリジッドOLEDです。

 

LGディスプレイとは異なり、Samsung Displayが構想している車載用ハイブリッドOLEDは、従来のリジッドOLEDよりもハイエンドな製品です。Samsung Displayの車載用ハイブリッドOLEDは、iPadのOLEDと同様に、0.5T厚のガラス基板下部を0.2T厚のウルトラシン(UT)基板にエッチングする可能性があります。製品が薄くなるため、ハイブリッドOLEDでは曲面の実現が可能です。リジッドOLEDは2つのガラス基板が入るため、曲げることが難しいです。また、リジッドOLEDは1層の発光層を持つシングルスタック(Single Stack)方式ですが、車載用ハイブリッドOLEDではツースタックタンデム方式を適用できます。

 

Samsung Displayが従来のA2生産ラインではなくA3生産ラインで車載用ハイブリッドOLEDを量産する場合、大画面一体型ディスプレイのサポートも可能です。5.5世代(1300x1500mm)のA2ラインはTFT工程後、基板を4つに分割(クォーターカット)して有機物蒸着工程を行うため、基板サイズは650x750mmになります。しかし、6世代(1500x1850mm)のA3ラインではTFT工程後、基板を2分割(ハーフカット)して有機物蒸着を行えば基板サイズを1500x925mmに拡大できるため、従来よりも縦長のOLED生産が可能です。LGディスプレイは6世代E5ラインでTFT工程後、基板を2分割(ハーフカット)して1500x925mmの基板に有機物を蒸着する方法を採用しています。