LGディスプレイ、オレドスへの投資は早くても来年


2023/09/07 The Elec

 

LGディスプレイのオレドスへの投資は、最速でも来年になると予想されています。LGディスプレイ自体は、今年も引き続きオレドスの研究開発(R&D)に力を入れる予定です。

 

業界筋によると、LGディスプレイは今年、オレドス(OLEDoS:OLED on Silicon)への投資を行わないことを決定したとされています。オレドスは、シリコン基板上に有機EL(OLED)を堆積する技術で、1インチ程度のマイクロディスプレイに適用できます。

 

LGディスプレイはこれまでオレドスの研究開発を進めてきましたが、潜在的な顧客に供給するにはオレドスの生産ラインが必要です。LGディスプレイのオレドス生産ラインを構築するために必要な金額は約1000億〜2000億ウォンと推定されています。

 

LGディスプレイ内部では、今年の上半期にもオレドスへの投資の提案が上がりましたが、結局投資は先送りされました。業界では、LGディスプレイが昨年下半期にオレドスへの投資を開始する可能性があるとの見方も出ていました。

 

LGディスプレイが今年、オレドスへの投資を行わない背景には、企業の業績、不確実な収益性、技術的な難しさなどがあったと推測されています。アップルは2022年6月にオレドスを使用したミックスドリアルディバイス「VisionPro」を発表しましたが、2023年初頭からアメリカで順次販売する予定であり、まだ供給量は限られています。

 

VisionPro向けのオレドスを生産するソニーも、シリコン基板上にOLEDを堆積し、酸素・水分から保護するプロセスまでは問題ないものの、その後のチップやプリント基板(PCB)を接続するモジュールプロセスで苦労しているとされています。LGディスプレイにとって、オレドスは大型のガラス基板を使用する大型OLEDや、ポリイミド(PI)基板を使用する小型OLEDとは技術的な性格が異なります。

 

一方、Samsung Displayは2つの異なるオレドス方法の開発に投資しています。Samsung Displayはまず、白(W)-OLEDにカラーフィルタ(CF)を形成する方法と、赤(R)、緑(G)、青(B)のサブピクセルを同じ層に隣接して堆積するRGB方式のオレドスを両方開発しています。

 

Samsung Displayにとって、W-OLED+CF方式のオレドスの潜在的な顧客はSamsung Electronics、RGB方式のオレドスの潜在的な顧客はAppleです。Samsung Displayは既に2024年にオレドスの生産を開始する意向を表明しており、Samsung Electronicsへの供給用にW-OLED+CF方式の製品を生産する予定です。RGB方式のオレドスには数年間の開発期間が必要とされています。Samsung DisplayはRGB方式のオレドスを開発するために、アメリカのeMaginを買収し、機器サプライヤーAPSもRGBオレドス用のシャドウマスクを開発中です。

 

2022年6月に発表されたAppleのVisionProは、W-OLED+CF方式のオレドスを採用しています。LGディスプレイもこの方式のオレドスの研究開発を進めてきました。