2025年5月30日 The Elec
ノートブックおよびタブレットパネル市場において、有機発光ダイオード(OLED)の売上シェアが継続的に上昇するとの見通しが示された。一方、モニターパネル市場におけるOLEDの売上シェアは、今後4年間で大きな変化がないと予想されている。
市場調査会社のCounterpointは、2029年までのIT製品ディスプレイ市場をこのように予測した。IT製品とはノートブック、タブレット、モニターなどを指す。
2024年のIT製品ディスプレイ市場では、技術基準で液晶表示装置(LCD)の売上比重が圧倒的である。製品別のLCD売上シェアは、ノートブック用が80%、タブレット用が70%台半ば、モニター用が80%台後半などである。その他のディスプレイ技術にはOLEDやミニ発光ダイオード(LED)などがある。OLEDやミニLEDなどはプレミアム製品に分類される。
OLEDの売上シェアは、ノートブックパネル市場では2024年の10%未満から2029年には35%まで増加すると予測した。タブレットパネル市場では2024年の20%台半ばから2029年には42%まで上昇すると予想した。一方、モニターパネル市場におけるOLEDの売上シェアは、2024年から2029年の間に5%前後で大きな変化がないと見込んだ。
まず、ノートブック市場全体の出荷量は2022年から2029年まで年平均1.4%成長すると予想した。これは人工知能(AI)PCユーザーが増加し、セットメーカーがプレミアム市場に集中すると見ているためだ。ノートブックパネル市場におけるOLEDの売上比重は、2022年から2029年まで年平均36%成長し、2029年には35%を占めると予測した。同期間、ミニLEDの売上比重は年平均22%減少すると予測した。
ノートブックのOLED売上は2026年から大幅に増加すると見込んでいる。Counterpointは言及していないが、2026年にはAppleが初のOLED MacBookを発売する可能性がある。
タブレットおよびモニター市場の見通し
タブレット市場全体は2022年から2029年まで年平均2%成長し、同期間のOLEDタブレットは19%成長すると期待されている。Appleは2026年にサムスンディスプレイのA2ラインで製造されたOLEDを搭載したiPad miniを発売する予定である。これにより、2026年のタブレットOLED出荷量は前年比33%増の1650万台に達すると予想される。2029年のタブレットパネル市場におけるOLEDの売上比率の期待値は42%だ。
モニターパネル市場では、OLEDとミニLEDの売上比率は2029年でもそれぞれ10%未満にとどまると予測された。今年のモニターOLED市場におけるサムスンディスプレイの量子ドット(QD)-OLEDの比重予想は73%であり、残りはLGディスプレイのホワイト(W)-OLEDが占める。
製造原価の予測
Counterpointは、2027年にIT製品の8.6世代ラインで製造される16.3インチ酸化物バックプレーンベースのツー・タンデム(発光層2層)ハイブリッドOLED(ガラス基板+薄膜封止)の製造原価が、6世代ラインで製造される低温多結晶酸化物(LTPO)バックプレーンベースのOLEDよりも低くなると予測した。しかし、ミニLEDの製造原価よりは62%高くなると見込んでいる。
IT製品市場全体の動向
今年のIT製品市場全体は昨年と同程度になると見ている。これは関税と需要の不確実性によるものであり、Counterpointは以前3%の成長を予想していた。ノートブックパネル市場の成長率期待値は5%から1%に低下した。企業向け需要の改善、3~5年の交換サイクル、マイクロソフトWindows 10のサポート終了、AI PCなどの期待要因が関税の影響で相殺された。昨年、IT製品の出荷量は前年比12%減少した。
プレミアム製品の成長見込み
今年のプレミアム(OLED+ミニLED)ノートブック出荷量成長率の期待値は8%である。OLEDノートブックは12%成長すると予測し、メーカー別ではLenovoが1位、次いでASUSとHPの順になると見ている。ミニLEDノートブックは3%成長し、Appleが1位を維持すると予想した。
プレミアムタブレットの出荷量成長率の期待値は8%である。Google、Honor、Huaweiなどが成長に大きく貢献する可能性が高い。プレミアムモニターの出荷量は今年40%成長すると見込んでいる。技術別の成長率はミニLEDが43%、QD-OLEDが40%、W-OLEDが19%などである。