ジャパンディスプレイ、 革新的なeLEAP技術を用いて最高の性能を持つAMOLEDディスプレイの量産を開始


2023年6月12日 UBIリサーチ Weekly Report 

 

Japan Display Incは、 FMMの代わりにフォトリソグラフィを使用した「eLEAP技術」についてSID 2023にて発表を行った。

 

JDIのeLEAP技術を適用した場合、正確なピクセルパターニングプロセスを通じてより大きな開口率を持つことが可能になり、バーンインが発生しない。 FMMおよびFMMスティックは不要で、より大きなサイズのディスプレイを製造することができるため、プロセスの短縮によりCO2排出量を減らすことができる。

 

JDIは、第6世代基板で生産され、 eLEAP 技術が適用された1.4”試作品を発表した。 Aperture ratioは54.1%で、従来のFMMがあるOLEDディスプレイよりも少ない色変化が現れ、寿命性能も改善された。

 

eLEAP 技術は小型および中型、大型ディスプレイの両方に適用可能で、JDIは2023年までeLEAP 量産ラインを構築し、2024年から量産を開始する計画だ。

 

Visionoxも、 JDIの「eLEAP技術」と同様のコンセプトのViP (Visionox intelligent pixelization)技術に関する内容を発表した。

 

従来のFMM蒸着方式におけるViP 技術に変更する場合、shadow effectやFMMの影響で制限されるPPI制限や、低材料活用率、その他コストなど、多くの問題を解決することができるとしている。

 

VisionoxはViP テクノロジーの大量生産のためのアプリケーションでのパフォーマンスを評価するために、 Visionox内部の7.2インチ携帯電話R&D生産プラットフォームを構築した。最近では、 7.2インチに続き、 7.9インチまでより大きくなったパネルを生産することができる。

 

ViP 技術によって角度に応じた視覚性能を向上させることができる。視野角による色変化が75度以下から1.0JNCD(Just Noticeable Color Difference)以下に減少し、有機素子の消費電力がFMMに比べて6.5%減少し、視野角による輝度低下を防止できる。 VIP技術はOLEDデバイイス開発のリードタイムを短縮し、画質と輝度の均一性を向上させ、消費電力を減らす効果が現れ、追加的なコストなしでパネルの透過度を増やすことが可能だ。

 

SEL(半導体エネルギー研究所)においても、マスクなしフォトリソグラフィで OLEDを別々に形成するマスクレスリソグラフィMML)技術について発表があった。

 

MML技術は、 VR/AR用シリコン基板を用いた超小型ディスプレイ、スマートフォン用ガラス基板を用いた小型ディスプレイ、TV用大型ディスプレイに適用できる。

 

SELが発表した資料によると、バンクのない構造はFMM-SBS方式で製作した構造より開口率が非常に高く、OLED材料の信頼性を高める。フォトリソグラフィパターニングにより開口部形状を自由に設計することができ、カラーフィルターのないMML-SBS方式はWOLED+CF方式よりも消費電力が少ない。

 

MMLプロセスの有無によるテスト用blueとgreen OLED素子の初期特性と駆動信頼性を比較した結果、 OLED素子特性に大きな違いはないことがわかった。

 

SELはMML技術が適用された8.3インチ、1,058ppi、 8K OLEDディスプレイを開発した。開口率はWOLED + color filter構造で10.8%だったのに対し、バンクフリーのMMLでは22%に高まった。またWOLED+color filterディスプレイでは低輝度で異なる色のスペクトルが現れるが、MMLディスプレイでは高輝度と 低輝度ともに異なる色のスペクトルが現れず、側面漏れが発生しなかった。