サムスンディスプレイは、折りたたみスマートフォンのパネルベゼルにインクジェットプリントを適用することを検討


2024.01.26  The Elec

 

Samsung Displayは、折りたたみフォンのパネルベゼルにインクジェットプリント方式を使用して製造する方法を検討しています。インクジェットプリント方式を使用すると、従来のMDD熱転写方式よりも製造コストを削減できます。MDD熱転写方式は既に検証された方法であるため、インクジェットプリントに必要なインクの特性と生産効率の確保が鍵となります。Samsung Electronicsも折りたたみフォンの製造コスト削減を求めています。

 

業界筋によれば、Samsung Displayは今年下半期に発売予定のSamsung Electronicsの新しい折りたたみフォン製品のディスプレイベゼルを、インクジェットプリント方式で製造する方法を検討しているとのことです。スマートフォン有機EL(OLED)ディスプレイの周囲にあるベゼルは、OLED内部の配線や金属電極などを隠すために使用されます。ディスプレイで情報が表示される領域を画像表示領域と呼び、残りの部分は非表示領域と呼ばれます。

 

折りたたみフォンのOLEDパネルプロセスでは、OLEDを水分や酸素から保護するTFE(薄膜封止)プロセスを経て、ベゼル用のフィルムを貼り付け、その後に折りたたみフォンパネルのカバーウィンドウであるウルトラシングルガラス(UTG)をラミネートします。

 

昨年までに発売されたSamsung Electronicsの折りたたみフォンGalaxy Z5シリーズと一般のバーフォームスマートフォンには、セギョン・ハイテックのMDD(Micro Dry Process Decoration)熱転写プロセスを使用してベゼルを作成し適用しました。この方法では、MDD熱転写プロセスを使用してベゼル用のフィルムを作成し、必要なだけそのフィルムを切り取ってベゼルとして使用します。このフィルムにはベゼルを作成するためのインクが含まれています。

 

セギョン・ハイテックは過去に折りたたみフィルム専用の薄膜印刷ソリューションを保有していると述べ、MDD薄膜印刷法を使用し、折りたたみに強いフィルム印刷が可能であると説明しました。ロールトロール熱転写方式は、印刷と乾燥が不要であるという点も付け加えました。折りたたみフォンのベゼルは画面が折り畳まれる部分のベゼルが他の部分よりも薄く、耐久性が強くなければなりません。

 

インクジェットプリント方式のベゼル用フィルムは、従来のMDD熱転写プロセスによるベゼル用フィルム製造と比較して、製造コストで優位性があることが報じられています。インクジェットプリント方式で作られたベゼル用フィルムは、MDD熱転写プロセスで作られたものよりも一度により長く作ることができるためです。同時に、インクジェットプリント方式で作られたベゼル用フィルムの衝撃吸収効果が、MDD熱転写プロセスで作られたフィルムよりも優れていると報じられています。

 

ただし、インクジェットプリント方式に使用できるインクの特性確保と、生産効率などが鍵となると予想されています。Samsung Displayがインクジェットプリント方式のベゼル適用を検討している際、セギョン・ハイテックも関連技術を検討する見通しです。

 

Samsung Electronicsは、折りたたみフォンの普及を図るために、過去数年間、製造コスト削減策を模索してきました。今年はGalaxy Z FoldおよびZ Flipシリーズで構成される折りたたみフォンで、Z Foldモデルを一般モデルに展開する可能性も検討されています。