青色燐光材料が実用化、OLED産業の転換点になる


○2022年11月14日 UBIリサーチ

 

11月9日に、ソウルで開催された「2022年下半期OLED決算セミナー」でUBIリサーチのイ・チュンフン代表は、OLED市場が拡大するための必須条件である青色燐光材料が2024年に開発完了し、2025年に商用化されると見通した。 同代表は「米国材料メーカーのUDCで、燐光ドーパントにTADFを混ぜた青色燐光材料を開発している。材料の寿命と特性は2年前の蛍光材料と同等の水準であり、消費電力が重要なモバイル機器の特性上、青色燐光材料の開発はOLED市場の転換点になることができる」と分析した。

 

現在、サムスンディスプレイのQD-OLEDは青色発光層を3層を積層する構造だ。QD-OLEDに蛍光の代わりに青色燐光材料が使用される場合、既存に青色発光層を3回積層する構造を1層または2層を積層する構造に代替が可能である。

 

同代表は「スマートフォンやスマートウォッチだけでなく、tandem構造で開発中のタブレットPC用や自動車用OLEDをシングル構造に置き換えることができる」と説明し、「青い燐光材料の開発により、LCDからOLEDへの転換に加速度がつくだろう」と予想した。

 

続いて代表はOLED市場動向について発表を続けた。悪化する市場状況と中国パネルメーカーのパネル価格引き下げにより、国内企業の状況は容易ではない。UBIリサーチによると、今年第3四半期、サムスンディスプレイのスマートフォン用OLED出荷量は7,890万台で、前年同期1億2,140万台対比35%減少した。

 

イ・チュンフン代表は「OLED出荷量を基板別にみるとflexible OLEDは前年同期と似ているが、rigid OLEDは急減した」とし「中国パネルメーカーがrigid OLEDパネル価格を引き下げ、rigid OLED市場で韓国企業の立場が弱くなっている。これにより、サムスンディスプレイが来年にはリジッドOLEDパネルの生産を中断する可能性がある」と分析した。

 

最後に、2023年上半期まで良くないOLED市場状況でも、TV用OLEDパネル出荷量は少量増加すると見られる。同代表は「今年870万枚だったTV用OLEDパネルは来年950万枚に増えると予想される」と述べ、「LG電子が450万台のWOLED TVを生産する見込みで、サムスン電子が今年45万台から来年100万台QD-OLED TVの量を増やすと思われる」と展望した。なお、「サムスン電子がOLED TV市場に参入したが、全体的なTV市場の悪化でOLED TV市場の拡大に影響を与えるかはまだ見守らなければならない」と説明した。