韓国の光学式検査装置メーカーNEXTIN、OLEDoS事業を拡大!京東方(BOE)のサプライチェーンに参入


2025年7月10日 CINNO Research

 

韓国の検査装置メーカーであるNEXTIN(ネクスティン)は、事業領域を次世代ディスプレイであるOLEDoS(シリコン基板OLED、別名Micro OLED)分野へと拡大した。業界関係者によると、同社は最近、中国の主要企業からOLEDoS用検査装置の供給注文を受けたという。

 

7月9日付けの業界情報によれば、NEXTINは中国・京東方(BOE)の子会社に対してOLEDoS検査装置を供給する計画だ。現在、京東方は子会社であるBVMTを通じて北京エリアにOLEDoSの量産工場を新たに建設している。BVMTは2022年に設立された法人で、主にOLEDoS事業を担当している。

 

NEXTINの2D光学式検査装置「AEGIS」(出典:NEXTIN)
NEXTINの2D光学式検査装置「AEGIS」(出典:NEXTIN)

 

OLEDoSは、画素サイズがわずか4~20マイクロメートル(μm)という超小型ディスプレイであり、従来のOLED画素サイズの約10分の1にあたる。これはガラス基板ではなくシリコンウェハ上にOLED素子を蒸着して製造されるもので、高精細表示や高速応答が可能なことから、今後のXR(拡張現実)市場での需要拡大が期待されている。

 

今回NEXTINが供給する装置は「AEGIS-II」というモデルで、2Dイメージング技術に基づく光学式ウェハ検査装置である。製造過程で発生する可能性のある各種欠陥を検出することができる。この装置はもともと半導体分野向けに使用されていたが、今回の受注によりOLEDoS分野へと応用が広がる形となった。

 

なお、今回の供給量は初期段階であり小規模にとどまるとされている。しかし業界では、京東方(BOE)や視涯(SeeYA)、BCDTechなど中国企業が積極的にOLEDoSの生産能力を拡大していることや、XR市場の成長性から、今後追加注文が出る可能性が高いと見られている。

 

韓国産業研究院(KIET)のデータによると、世界のXR市場規模は昨年の404億ドルから、2029年には620億ドルに達し、年平均成長率は8.97%に達すると予測されている。

 

またNEXTINは、京東方向けの別のOLEDoS検査装置供給も進めている。装置名は「KROKY」で、これはもともとHBM(高帯域幅メモリ)など半導体の後工程向けに開発されたMacro検査装置である。Macro検査は精度では他の光学検査に劣るが、広範囲を一度に検査できるため生産効率が非常に高いという特長を持っている。