LGディスプレイの第4世代タンデムOLEDがSID 2025で受賞


2025年5月19日  Display Daily

 

LGディスプレイが進める第4世代OLED技術の研究が、2025年のSociety for Information Display(SID)主催「ディスプレイ・ウィーク」において、その年の優秀論文賞を受賞した。この受賞対象となった研究は、LGディスプレイ独自の「Primary RGB Tandem OLED構造」に関するもので、赤・緑・青の発光層を垂直に積層する設計を特徴とする。この構造により、パネルは業界最高水準とされる最大輝度4,000ニトを実現し、前世代比で40%向上した色輝度2,100ニトを達成している。さらに、65インチパネルでの消費電力を約20%削減する効率性の向上も示されており、AIを統合した次世代テレビプラットフォームによる電力需要の高まりに対応する技術とされている。

 

同イベントではこのほかにも、LGディスプレイが合計16本の研究論文を発表しており、その中にはDynamic Frequency & Resolution(DFR)技術を活用した480Hz OLEDパネルに関するものも含まれている。DFRは、ゲーム用途ではフルHD解像度で480Hzの高リフレッシュレートに、映像視聴時にはUHD解像度で240Hzに切り替えることを可能にする技術である。

 

同社の商用パネル2製品も、このイベントで「ピープルズ・チョイス・アワード」を受賞した。83インチの第4世代OLEDテレビパネルが「最優秀OLED技術賞」を受賞し、57インチのピラー・トゥ・ピラー(P2P)酸化物LCD車載ディスプレイが「最優秀車載技術賞」に選ばれた。

 

これらの受賞はLGディスプレイの技術的方向性を裏付けるものだが、同時に中国メーカーの台頭により競争が激化する局面でもある。たとえばタンデムOLED構造の採用はLGディスプレイだけのものではなく、他のパネルメーカーもまた、世界的な持続可能性目標や変化する消費者の期待に応えるべく、エネルギー最適化技術を積極的に模索している。

 

今後の戦略的課題は、こうした技術的進歩が持続的な商業的優位につながるかどうかにある。特に、マクロ経済的な圧力、供給過剰のリスク、テレビ市場の成長鈍化といった要因が、最先端のディスプレイ技術にとっても収益性を脅かす状況になっている。