2025年7月9日 Display Daily
2025年第1四半期におけるOLEDパネルの売上は前年比2%の緩やかな成長を示しましたが、平均販売価格(ASP)の下落が業界の重荷となり、通年の売上成長は横ばいになる見通しです。2024年第4四半期の3%減からの回復ではあるものの、今後も厳しい状況が続きそうです。
出荷台数は、テレビ、タブレット、モニター、スマートフォンの伸びにより、前年比4%増となりましたが、通年では出荷台数は4%増加する一方で、売上は価格下落の影響で横ばいになると予想されています。
スマートフォン分野は微増、価格下落が課題
OLED売上の最大シェアを占めるスマートフォン分野では、出荷台数は前年比1%増加しましたが、売上は横ばいでした。これはASPの下落が原因であり、スマートフォン向けパネル価格は前年比2%下落しています。
特にフレキシブルOLEDスマートフォンは出荷台数が前年比4%増と健闘したものの、フォルダブル(折りたたみ型)端末の出荷台数は前年と変わらずでした。
サプライヤー動向とセグメント別の変化
・Samsung DisplayはiPhone向け供給で引き続き業界トップの地位を維持。
・2位はLG Display、続いて急成長中の中国BOEが続く。
・特筆すべきは、フォルダブルOLED分野でBOEがSamsung Displayを上回った点で、この新興市場での競争環境の変化を示しています。
製品別の動向
・テレビは出荷台数8%増、売上3%増を記録。ただしMiniLED LCDテレビとの競争が激化中。
・ノートパソコン分野ではPC全体の販売が前年比18%減少する一方で、OLED採用は68%急増。
・ARグラス、自動車、スマートウォッチなどの新興カテゴリも売上成長に貢献。
今後の見通し
2025年第2四半期は厳しい局面が続くと予想されますが、年後半にはフォルダブルやフラッグシップ端末の発売により回復が期待されます。しかし、Counterpoint Researchのデビッド・ナランホ氏は、この程度では通年の売上横ばい傾向を覆すには不十分だと指摘しています。
業界が再び売上成長を実現するには、フォルダブルやロール可能なOLEDなど、新たなフォームファクターの大規模採用が必要です。昨年まではAI PCやタブレットへのOLED採用が成長のけん引役でしたが、現在その勢いは鈍化しています。