2025年5月22日 UBIリサーチ
自動車産業の技術進歩に伴い、カメラモニタリングシステム(CMS)の重要性が高まっています。既存のサイドミラーに代わるこの技術は、ドライバーの視野を広く確保し、車両のデザインと空力性能を向上させるという利点があります。CMSは、車外に設置された高解像度カメラを通して周囲の状況をリアルタイムで捉え、車内のディスプレイに送信することで、ドライバーが死角なく周囲を認識できるように支援します。夜間や悪天候などの運転環境でも優れた視認性を提供し、運転の安全性向上につながります。
CMSはドアミラーをなくすことで車両の空気抵抗も低減し、燃費向上とCO2排出量の削減にも貢献します。大型商用車ではCMSの導入により最大1.5%の燃費削減効果が得られるとの分析もあります。こうした技術的な優位性がある一方で、CMSの普及には課題もいくつかあります。まず、カメラとディスプレイの耐久性・信頼性の確保が不可欠であり、システムの故障や不具合が運転者の視界に致命的な影響を与える可能性があるため、徹底した品質管理とテストが必要です。また、従来のドアミラーに慣れたドライバーがディスプレイベースの新しい視聴方法に慣れるのに時間がかかる場合があり、ユーザー教育や運転支援機能との連携開発も並行して行う必要があります。さらに、各国の法規制や安全規制が未だ完全に統一されていないことも、普及の障壁となっています。
こうした流れの中、CMS技術は先日開催された「上海モーターショー2025」において、多くのグローバル企業が注目するキーテクノロジーの一つとして大きく取り上げられました。この展示会では、CMS関連の様々な技術が紹介され、自動車デザインと運転環境の未来の方向性を示す場として評価されました。