韓国のドゥインシス(Dowooinsys)「来年のフォルダブルフォン市場の反騰で恩恵を期待」…Apple関連の質問には「NDAのため回答不可」


2025年7月10日 The Elec

 

・10日にKOSDAQ上場に向けた記者懇談会を開催

・ベトナム工場のUTG生産能力を2倍に拡大予定:「潜在顧客確保に備え」

・中国ライバル「レンズテクノロジー」に関しては「UTG量産経験がなく簡単ではない」と言及

 

韓国の超薄型ガラス(UTG)メーカー「ドゥインシス(Dowooinsys)」は10日、「来年、米国のグローバル企業がフォルダブル製品を発売するのを契機に、フォルダブルフォン市場が爆発的に反騰するだろう」とし、「当社もその恩恵を受ける見込みだ」と語った。

 

これは、Appleが2026年に初のフォルダブル製品を発売する可能性が高まる中、そのカバーウィンドウに使われるUTG(Ultra Thin Glass)を量産しているドゥインシスに好影響が及ぶとする見解だ。Appleとの関係についての質問には「秘密保持契約(NDA)を結んでおり、回答できない」と述べた。

 

市場展望とApple参入への期待

同社代表取締役副会長のオク・ギョンソク氏は、ソウル・汝矣島で開かれたKOSDAQ上場記者懇談会で、

「フォルダブルフォン市場はまだ黎明期」としながらも、「2026年後半から急速に拡大し、大衆化時代に突入する」との見通しを示した。

 

ドゥインシスは現在、サムスンディスプレイに対してUTGを供給しており、Galaxy Z Foldシリーズ(ブックタイプ)のUTGを担当。一方で、Z Flipシリーズ(クラムシェルタイプ)のUTGはサムスンが自社生産している。同社の売上の90%以上がサムスンディスプレイからのものだ。サムスンディスプレイ、Samsung、Google、Xiaomi、Oppo、Vivoなどにフォルダブルパネルを供給している。

 

Apple向け供給についての観測とライバルの評価

Appleは2026年に初のフォルダブル製品をリリース予定。パネルはすべてサムスンディスプレイが供給するとされ、その供給チェーンにあるドウインシスがUTGを供給するかどうかが注目されていた。一方で、中国のレンズテクノロジーが、Appleのフォルダブル製品用UTGのファーストベンダーになるとの見方が有力視されている。

 

これについて、ドゥインシス副社長でUTG開発を統括するイ・ジャンドゥ氏は、「レンズテクノロジーは折りたたまない製品向けの厚いカバーガラスしか製造しておらず、UTGを量産した経験はない」と述べ、「UTGの量産は簡単ではない」と指摘した。さらに、「UTGの製造には、原板供給(SCHOTT)、加工(ドゥインシス)、ディスプレイ接着(サムスンディスプレイ)など、6年以上協業した精密なサプライチェーンがある。外部企業が簡単に参入できる領域ではない」と強調した。

 

技術力と生産体制

ドゥインシスはUTGの全製造工程を内製化しており、レーザー切断・強化・自動検査・洗浄・ラミネート・出荷検査まで、すべて独自技術で対応している。レーザー切断は2024年から導入しており、一部では従来通り機械式切断も併用しているという。イ副社長はサムスンディスプレイでフォルダブル開発チーム長を務めた経歴があり、2024年からドゥインシスに合流。「2014年からドゥインシスとUTGを共同開発してきた」と述べた。

 

生産能力と今後の拡張

現在、ドゥインシスのUTG生産能力は:

・忠清北道・清州工場:月産 81万枚(810K)

・ベトナム工場:月産 100万枚(1000K)

・合計:月産 181万枚

 

ベトナム工場の生産能力は、2026年末までに月産200万枚(2000K)に拡大予定。これは「潜在顧客の獲得に備えるため」と説明され、実際に装置を発注してから稼働・出荷までには約1年半かかるとのこと。このため、実際に売上に反映されるのは2027年からとなる見通し。

 

戦略提携と今後の展開

2023年に大株主がサムスンディスプレイからNewPower Plasma社に変更された際、戦略的パートナーシップ契約が交わされたが、その内容については「営業機密であり、詳細は明かせない」と述べた。

 

今後の展望と上場計画

調達資金(約400億ウォン)は、

・新規設備投資

・次世代UTG技術の高度化

・生産能力の拡張

などに使われる予定。フォルダブル以外にも、スライダブル、ハイブリッド、大面積UTGといった新フォームファクタ製品の開発も進行中。