2025年7月9日 CINNO Research
ポーランドのテクノロジー企業 Noctiluca(ノクティルカ) は、2025年7月7日付で中国の有力Micro-OLEDパネルメーカーである 台州観宇科技有限公司(以下「パートナー」) と材料移転契約(MTA)を締結したと発表した。
観宇科技は、先進的な表示ソリューションを提供する中国企業であり、シリコン基板Micro-OLEDパネルの研究開発および製造に注力している。同社のパネルは、高輝度・高画素密度・低消費電力が要求される用途に適しており、主にAR/VR用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、カメラやビデオ用の電子ビューファインダー、スマートグラスなどに用いられている。これらは民生用にとどまらず、自動車、航空(ドローン含む)、医療機器などの産業用途にも適用されている。
同社は、RGBフルカラーOLEDをシリコン基板上に直接集積し、CMOS駆動基板を内蔵することで、超高解像度・低消費電力・薄型軽量を実現した最先端のAMOLEDマイクロディスプレイ技術を有している。
契約の内容と目的
今回の契約により、Noctilucaは独自開発した電子注入層(EIL)材料のサンプルを観宇科技に提供し、発光性能・熱安定性・生産プロセスとの適合性などの高度なテストが行われる予定だ。
このテスト結果は、超高解像度かつ低消費電力を求められる高級アプリケーション分野での商業化・量産実現に向けた重要な技術的基盤となる。
Noctilucaは、中国本土および台湾を戦略的拡張地域と位置付けており、今回の材料移転契約は、過去半年間で4件目となる同種契約であり、同社の革新的OLEDソリューションサプライヤーとしての国際的地位確立に向けた重要な一歩となっている。
Noctiluca社について
ポーランド・トルンを拠点とするNoctilucaは、有機材料に特化したハイテク企業であり、ワルシャワ証券取引所に上場している。同社は、OLEDなどの製造企業向けに使用される先進的な有機電子化合物の開発を行っている。
現在、同社は次世代OLED発光材料を開発・製造しており、これらはディスプレイ(テレビ、スマートフォン、ウェアラブル、VRなど)や照明機器にとって不可欠な部材である。
技術面では、トルンに高度な研究所を持ち、韓国に独自のR&D拠点を設立。ドイツの研究機関や台湾の工業技術研究院(ITRI)との協業プロジェクトも進行中である。
商業面では、世界の主要ディスプレイメーカー上位10社のうち8社、世界最大のスイス時計メーカー、中国最大の通信機器メーカー、米国最大のコンシューマーエレクトロニクス企業とも協力・契約関係にある。
観宇科技有限公司について
台州観宇科技有限公司は2020年6月に設立。企業ビジョンは「グローバルなXRマイクロディスプレイの進歩をリードする」であり、光電子・半導体業界に精通した専門家で構成されたコアチームが率いている。
2020年10月30日には3000nitsの輝度を持つRGB自発光シリコン基板OLEDマイクロディスプレイモジュールを初公開。2021年8月20日には8000nitsを超えるRGB自発光OLEDモジュールの点灯と量産開始を記念するイベントを開催した。