2025年の大型ディスプレイ出荷は前年比2.8%増、成長をけん引するのはノートPC・モニター向けディスプレイ


Abhinav Anand | 2025年10月2日 

 

サムスンディスプレイは、世界で最も先進的なディスプレイを手がける企業の一つだ。そのような地位を保つためには、競合他社に知られたくない多くの重要な技術を守る責任も伴う。ところが今回、サムスンディスプレイの社員が、中国のある未公表の競合企業に機密技術を漏えいした疑いで捜査を受けているという。

 

中国への技術流出疑惑で捜査

韓国メディアによると、韓国当局はすでにサムスンディスプレイの牙山(アサン)キャンパスを家宅捜索した。この捜査は、ソウル地方警察庁の産業技術保安捜査チームが主導している。関係者の話では、捜査はまだ初期段階にあるものの、複数の社員が関与している可能性があるという。もし疑惑が事実と確認されれば、逮捕者が出る見通しだ。

 

これはサムスンが企業スパイ事件に巻き込まれたのは初めてではない。2020年には、元研究者2人がOLED関連の機密を中国に漏らした罪で起訴されている。さらに2023年には、およそ3億ドル相当の独自ディスプレイ技術を外部に流出させたとして、サムスンディスプレイの社員が逮捕された。

 

スマートフォンやメモリ半導体を製造するサムスン電子も、似たような問題を抱えてきた。昨年には、盗んだ半導体データを使って中国で会社を設立しようとした元社員が逮捕されている。

 

サムスンはOLEDディスプレイとメモリチップの両分野で世界的リーダーであり、その技術的価値は極めて高い。その高い価値ゆえに、スパイ活動の標的になりやすい。韓国政府はこうした事案を非常に重く見ており、主要産業技術の漏えいには長期の懲役刑や数百万ドル規模の罰金が科される場合がある。近年、当局はこうした事件を数十件単位で摘発しており、その多くが中国企業に関係している。

 

サムスンディスプレイの経営陣も、技術流出が継続的な問題であると警鐘を鳴らしてきた。同社は厳重なセキュリティ体制を維持しているものの、事件は繰り返し発生している。

 

現在、捜査は進行中で、警察は押収した資料を分析中。関係したとされる中国企業の名前はまだ明らかにされていない。