2025年10月1日 WitDisplay
世界初の8.6世代AMOLEDガラス基板精密加工ラインが上棟
9月30日、沃格光電(Vog Optoelectronics)は、同社が投資・建設を進めている世界初かつ中国初の8.6世代AMOLEDガラス基板フォトリソ・エッチング精密加工プロジェクトの主棟が、成都ハイテク区で上棟を完了したと発表した。
このプロジェクトは総投資額が6億2800万元(約140億円)を超え、2025年4月9日に正式着工した。生産主棟のほか、生産補助棟、動力棟、倉庫などの付帯施設を含み、総敷地面積は約56ムー(約3.7万㎡)。今回上棟を終えた主棟は3階建てで、延床面積は5万9000平方メートルに及ぶ。
BOEなど大手メーカーの8.6世代有機EL量産を支える設備
プロジェクトが完成すると、成都沃格は世界で初めて8.6世代AMOLEDガラス基板の薄化量産能力を備えたスマート生産ラインを保有することになる。これにより、京东方(BOE)をはじめとする主要ディスプレイメーカーの8.6世代有機EL量産ラインに対し、重要な工程支援とコア技術を提供する体制が整う見通しだ。
同社によると、今後3か月間で工場の内装、水道・電力・ガスなどのインフラ整備、製造装置の導入と試運転を一気に進める予定。2026年1月中旬までに初期製品の薄化ウェハ試験を完了させ、BOE成都の8.6世代有機ELラインの量産スケジュールとシームレスに接続する計画である。
ガラス加工から車載・半導体まで多分野を網羅する沃格光電
公開情報によれば、沃格光電はガラス基板の薄化、コーティング、切断、タッチディスプレイ、そしてシリコン基板精密集積回路加工などの産業分野に特化している。
同社の中核事業は「従来型ディスプレイ」「新型ディスプレイ」「車載ディスプレイ」「半導体」の4大モジュールで構成され、主要製品にはガラス薄化膜、光学コーティング、精密配線形成、液晶パネル切断、フレキシブル新素材、車載タッチセンサー、高級光学フィルム、バックライトなどが含まれる。
この8.6世代プロジェクトの進展は、沃格光電が次世代ディスプレイ製造分野での中核的地位を確立する大きな一歩になると期待されている。