出典:Quark Display|日付:2025年10月13日|記者:文涛
AI普及と企業設備更新が市場を押し上げ
市場調査会社CounterPoint Researchが発表した最新分析レポートによると、企業の設備更新需要、人工知能(AI)応用の拡大、新製品の継続的な投入といった複数の要因が重なり、世界のノートパソコン用ディスプレイ市場は今後も堅調な成長を続ける見通しだ。特にOLEDノートPC用パネルは2026年に前年比30%の成長を達成する見込みで、強い拡大ポテンシャルを示している。
レポートによると、2025年の世界ノートPCディスプレイ出荷量は前年比4%増が見込まれ、市場は緩やかな回復基調を維持するという。なかでも、OLEDやMini LED技術を採用した高性能ノートPC用パネルが際立って伸長しており、2025年の出荷量は前年比9%増、ノートPC全体の出荷量に占める割合は8%に達する見通し。このうちOLEDノートPC用パネルは2025年に前年比9%の成長を遂げ、2026年にはその成長率が一気に30%へと加速すると予測されている。これは、技術成熟の進展と市場拡大の加速が相乗効果を生む結果と分析されている。
コスト効率改善と高級モデル拡大が成長の原動力に
CounterPoint Researchは、2026年におけるOLEDノートPCパネル市場の高成長を支える主因はコスト効率の継続的な改善であると指摘。これにより、OLED技術がノートPC市場でより広く普及する見通しだという。
同時に、多くのブランドが高級ノートPCの製品ラインを積極的に拡大しており、OLEDパネルは優れた色再現性、コントラスト比、省電力性能を活かしてハイエンドモデルの重要構成要素となりつつある。この傾向により、OLEDノートPCの市場シェアは今後さらに拡大すると見られている。
注目すべきは、Appleが2026年末から2027年初頭にかけて発売を予定している「OLED MacBook Pro」の存在である。同レポートは、これがIT市場を高性能・省エネ型ディスプレイへと転換させる重要な触媒(カタリスト)になると指摘。産業全体の技術革新と需要喚起を促す可能性が高いとしている。
CounterPoint Researchの副ディレクターDavid Naranjo氏は次のように述べている。「企業の設備更新需要は依然として強く、ソフトウェアのアップグレードやAI技術の導入が市場の潜在力を引き出している。2025年の高級ノートPC向けパネルの出荷量は前年比9%増と予測されており、これはハイエンド市場が再び安定成長の年を迎えることを意味する。技術革新と消費の高度化が引き続き市場に活力をもたらすだろう。」
OLED技術の進化とコスト効率の向上が、ノートPCディスプレイ市場の新たな成長段階を切り開こうとしている。AI時代を背景に、高性能かつ省電力なディスプレイへの移行は今後さらに加速しそうだ。