2028年にはスマートフォン向け中小型OLED供給が不足へ


Wit Display|2025年9月5日

 

スマートフォン需要の拡大を背景に、中小型OLEDディスプレイ市場は力強い成長を続けている。しかし需要が年々着実に増加していることから、2028年には供給不足が生じる可能性が指摘されている。

 

9月5日、ソウル科学技術コンベンションセンターで開催された「2026年に向けたディスプレイ戦略セミナー」において、UBI Research副社長の韓昌旭氏はスマートフォンOLED市場の見通しを示した。

 

現在、OLEDはスマートフォンにおける主流パネルとなり、その応用範囲はタブレットやノートPCといったITデバイスへと広がっている。特にアップルは高性能OLEDの採用に積極的である。同社のロードマップによれば、今年はすべてのiPhoneにLTPO(低温多結晶酸化物)OLEDを搭載し、来年には折りたたみモデルや赤外線カメラ内蔵型の新機種を投入する計画だ。さらに、2027年のiPhone Proシリーズでは真のベゼルレスフルスクリーンが実現される見込みだという。

 

アップルはまた、ディスプレイ業界に対してLTPO技術の開発を強力に推し進めている。LTPOとは、OLED駆動用の薄膜トランジスタ(TFT)の一部に酸化物を用いる技術で、従来のLTPS(低温多結晶シリコン)方式よりも電力効率が高い。今後1〜2年のうちに第3世代LTPOを採用する予定で、この世代ではTFT内での酸化物の利用範囲がさらに拡大し、電力効率の一段の向上が期待されている。

 

こうした動きにより、小型OLED市場は引き続き大幅な成長を遂げる見通しだ。今年のスマートフォン向けOLED出荷量は9億枚を超えるとされ、需要増が続けば2028年には供給不足が懸念される。具体的には、同年の供給量は11億4,100万枚と予測されるのに対し、需要は11億5,600万枚に達すると見込まれている。

 

韓昌旭氏は講演の中で、「スマートフォン向けOLEDパネルの需要が増加しており、追加の設備投資による供給力強化が必要になる可能性がある。ただし、現在IT分野向けに進められている第8.6世代OLEDの生産能力が、この需要に十分対応できるだろう」と述べた。