AP Systems、第8.6世代OLED製造装置工場の生産能力を倍増


出典:WitDisplay|日付:2025年10月16日

 

600億ウォンを投じて新たな生産拠点を確保

ディスプレイおよび半導体製造装置の専門メーカーAP Systemsは10月16日、総額600億ウォン(約63億円)を投じ、敷地面積1.5万平方メートルのクリーンルーム生産施設および土地を取得したと発表した。

 

今回の投資により、同社の総生産能力は3万平方メートル規模へと拡大。世界的に急増する有機EL製造装置の需要に対応できる体制を整えた。

 

新たに取得した生産拠点は、有機ELの前・後工程用装置および半導体製造装置の生産に対応する高水準のクリーンルームを備えており、即時稼働が可能な状態にあるという。この設備導入によって、生産効率と供給安定性が大幅に向上し、今後の市場拡大にも柔軟に対応できる体制が確立された。

 

中国勢の大型投資が牽引する第8.6世代OLED競争

現在、世界の有機EL市場は急速に拡大しており、特に中国を中心に第8世代IT向けOLED市場が重要な投資期に突入している。

 

BOEは2026年までに第8.6世代IT向けOLEDに約630億元を投資する計画を発表しており、Visionoxも2027年までに550億元の投資を予定している。さらに、華星光電(CSOT)も第8.6世代インクジェット印刷方式OLED生産ラインの建設を発表し、大規模な製造装置投資競争が加速している。

 

また、有機ELパネルの採用がノートPC、タブレット、モニターなどのIT機器で急速に拡大しており、関連する製造装置の需要は過去最高水準に達している。

今回の投資により、AP Systemsは即座にグローバル顧客の生産拡大ニーズに応じられる供給体制を確立したことになる。

 

同社の担当者は次のように述べている。「今回の投資は、事業の安定性と将来の成長基盤を同時に強化するための戦略的決断です。健全な財務体質を基盤に、拡大を続ける顧客の投資需要に応え、有機ELおよび半導体製造装置市場でのリーディングポジションを一層確固たるものにしていきます。」

 

レーザー技術を核にした事業拡大

AP Systemsは1994年に設立され、レーザー応用および熱処理技術を強みとしてディスプレイおよび半導体製造装置市場で確固たる地位を築いてきた。近年では、HBM(高帯域幅メモリ)封止工程向けの剥離・切断用レーザー装置を開発するなど、半導体分野への事業拡大を加速している。

 

今回の新投資は、急成長するOLED市場と半導体製造分野の双方において、AP Systemsがグローバル供給体制の強化と市場リーダーシップの拡大を狙う動きの一環といえる。