BOE、今月にLG電子TV事業部を訪問


2025年7月16日 The Elec

 

TV用LCDの供給量を協議か… LG電子、BOEへの依存度を下げるかが関心の的

 

BOEが今月中旬にLG電子のTV事業部を訪問する計画であることが、16日に明らかになった。BOEとLG電子は、今年後半および来年のTV用液晶ディスプレイ(LCD)の供給量について協議すると見られている。

 

LG電子はTV用LCDの購入量において、BOEへの依存度が40%を超えている。BOEにとってLG電子はTV用LCDの「ビッグ3」顧客の一つであり、すでに相互の取引比重が大きい。

 

今回のBOE訪問をめぐる業界の関心事は、LG電子のTV用LCD購入量やBOEへの依存度の変化などだ。

 

現在7月中旬だが、今年後半のTV市場の見通しは依然として不透明だ。上半期には、米国の関税政策に対する不確実性から、小売業者やTVメーカーはTV完成品やLCDを事前に在庫確保していた。「仮需(需要の先食い)」があったとも言える。

 

市場調査会社オムディアによると、昨年のLG電子のTV用LCD購入量のうち、BOEの割合は44%で最も高かった。今年初めの予測では、LG電子はこのBOE比率を40%まで下げるとされていた。あわせて、CSOTの比率を昨年の8%から今年は10%に、シャープの比率を4%から6%に増やすと予想されていた。

 

LG電子はこれまで、TV競合企業であるTCLの子会社CSOT製LCDをあまり使用してこなかった。そのため、BOEへの依存度が高かった。

 

しかし、LG電子にとってバランス役となっていたLGディスプレイが、今年3月をもってTV用LCD事業から完全撤退した。これによりLG電子はTV用LCDの供給網を再構築する必要がある。昨年、LG電子がLGディスプレイから調達していたTV用LCDの割合は12%であり、今年も同程度と推定される。

 

なお、LGディスプレイが最後にTV用LCDを生産していた中国・広州のLCD工場は、CSOTが買収した。CSOTはこの工場を「T11」と呼んでいる。LG電子が来年以降もこれまでと同様にT11からTV用LCDを10%台前半で調達する場合、LG電子のTV用LCDに占めるCSOTの比率は20%台前半にまで急増する可能性がある。

 

BOEにとっても、LG電子は重要なTV用LCD顧客である。BOEのTV用LCD出荷量のうち、LG電子・ハイセンス・スカイワースの3社で45%を占めており、各社の比率は14~16%とされている。オムディアによれば、昨年BOEのTV用LCD出荷量は5700万台であり、このうちLG電子は14~16%(約800万~900万台)を占めた。今年の予測でも、BOEのTV用LCD出荷量は6000万台、そのうちLG電子向けが800万~900万台と見込まれている。

 

LG電子のプレミアムTVラインナップである有機EL(OLED)TVおよびミニLED TVの中では、当初の期待に比べてミニLED TVの需要が比較的高いとされている。ミニLED TVはLCDパネルを使用する。

 

別の市場調査会社カウンターポイントは、2023年中頃からTV用LCD価格が中国パネルメーカーにとってわずかながらも利益が出る水準で維持されていると評価している。過去にはTV用LCD価格の変動幅が大きかった。かつて韓国のパネルメーカーがTV用LCDを多く生産していた時期には、中国メーカーが低価格・大量出荷で市場シェアを拡大していたが、韓国メーカーが撤退したことで競争が緩和された。サムスンディスプレイは2022年にLCD市場から完全撤退し、LGディスプレイも今年3月にTV用LCDから撤退している。

 

LG電子 QNED(LCD)テレビ(資料=LG電子)
LG電子 QNED(LCD)テレビ(資料=LG電子)