BOE、B6工場でMini/Micro LED生産へ投資開始


2025年9月16日 出典:文涛

 

B6工場をMLED生産ラインへ転換

BOE(京东方)は、内モンゴル自治区オルドス市にある5.5世代B6工場の生産ラインをMini/Micro発光ダイオード(MLED)の製造用に転換する投資を開始した。これまでB6工場は液晶(LCD)や有機EL(OLED)の製造を担ってきたが、今後は次世代ディスプレイ技術に注力する。

 

韓国アルバックがスパッタリング装置を供給

中国の入札情報によると、韓国アルバック(ULVAC Korea)がBOE子会社・鄂尔多斯源盛光電の「MLEDバックプレーン(BP)設備アップグレードおよび技術革新プロジェクト」において、スパッタリング装置1台の供給元として選定された。オルドス市にあるこの5.5世代工場は、BOEの中核生産拠点のひとつである。

 

バックプレーン(BP)の役割とMini/Micro LEDの特長

スパッタリング装置は、真空状態で金属などの材料を原子単位に分解し、基板に薄膜として形成する物理気相成長(PVD)方式の装置である。Mini/Micro LEDチップを駆動するバックプレーン(BP)に電極や回路を形成する際に不可欠だ。BPはLED素子に電気信号を伝達・制御する基板で、LED素子の個別発光を可能にする。

 

Mini LED BPはバックライトモジュール(BLU)に組み込まれ、複数の背光エリアの明るさを制御するローカルディミングを実現。一方、Micro LED BPはすべてのLED素子を個別に制御でき、より高精細な表示を可能にする。

 

B6工場の生産能力と今後の展望

韓国アルバックが供給するSMD-1500スパッタリング装置は、5.5世代ガラス基板(1300×1500mm)に対応する。価格は公表されていないが、同社は2023年に同種装置を納入した実績がある。今回の供給は2回目で、まずは装置性能の検証を行う狙いとみられる。

 

B6工場は2013年に稼働を開始し、BOEが早期にOLED生産技術を確立するための拠点として整備された。現在は月産6万枚(LCD)、月産2000枚(OLED)の能力を持ち、自動車用・医療用ディスプレイパネルやモバイル機器向けに供給している。今回の投資により、同工場はMini/Micro LEDの量産および技術検証の中心拠点となる見通しだ。