2025年9月13日/ JM Insights
9月11日、「スクリーンによるモノのインターネット、AIで刷新」をテーマにした「京東方グローバル・イノベーション・パートナー・カンファレンス2025(BOE IPC 2025)」が北京・中関村国際イノベーションセンターで開幕した。京東方華燦は車載向けの最新製品やMicro LEDの革新的なディスプレイソリューションを多数出展し、技術的ブレークスルーと製品革新を披露。スマートディスプレイ分野の方向性を示す存在感を示した。
AR向けMicro LEDモジュールと車載用光源コンポーネント
現在AR市場が急速に拡大する中、京東方華燦は同社初のARソリューションとして0.13インチMicro LEDディスプレイモジュールを発表した。このモジュールは低消費電力・高輝度・高い外観歩留まり・均一性といった特長を備え、ピーク輝度は400W nitに達する。製造には高精度・低ダメージ加工や光学制御技術を採用し、高品質表示と量産性を両立している。
さらに、Si基CMOSドライバとMicro LEDチップを統合したピクセル型車載用ライト光源コンポーネントも披露。独自のエピタキシャル成長とチップ集積加工により、低消費電力かつ高輝度で数万ピクセルの動的照明表示を実現し、高度な車載ライトのスマート化を後押しする。
HUD・二面ディスプレイなど多彩な新製品
京東方華燦が開発に参加した6.2インチのフルカラーHUDは、独自開発のMicro RGB HUD用ディスプレイチップを搭載し、表示性能を大幅に強化。鮮明な映像表現が可能となり、次世代の車載インターフェースへの応用が期待される。
また、P0.6 MPD両面ディスプレイも注目を集めた。これは最新のMPDパッケージ技術を採用した微細ピッチディスプレイで、色の一貫性や画質を向上しつつ構造を薄型化。最大1000 nitsの輝度を実現し、屋内大型スクリーン、デジタル展示、高級会議など多彩なシーンに対応する。二面でのコンテンツ連動により、空間美学とプロフェッショナル表示を融合し、新しい視覚体験を提供する。
Micro LED技術の進化と今後の展望
MLED分科会では、京東方華燦CTOの王江波博士が「Micro LED:チップとディスプレイの新しい潮流」をテーマに講演。Micro LEDは急速に発展し、スマートウェアラブル、車載、大型ディスプレイなどの分野で革新を促し、バーチャルとリアルが融合する時代を切り開くと述べた。TrendForceによると、大型ディスプレイ分野でMicro LEDが先行して市場拡大し、ARはAIの駆動で徐々に浸透、2026年以降多数の応用が立ち上がる見通しという。
京東方華燦はすでに大面積・低欠陥・高波長均一性のMicro LED外延技術や、高歩留まりのチップ製造技術を確立し、5μm以下のチップを高精度で量産できる能力を持つ。4インチ・6インチ基板から8インチ・12インチへの拡張を進め、外延・チップ処理・転写でコスト優位を見込む。さらに、サブミクロン精度の加工、RGB三色垂直積層工法、高効率巨量転写技術など、多様な要素技術を整備し、良品率・光効率・均一性に優れた6インチCOW/COC製品も投入している。
MPD製品はすでに量産され複数の高級案件に採用されており、高コントラスト・白バランスや低輝度での一貫性、長期安定性などの特長を備える。高効率・高良品率・高接着強度を実現しつつ、設備投資やコスト削減にも優位性があるため、ハイエンドテレビや会議用ディスプレイへの展開が期待される。
AI時代の進展により高性能ディスプレイ需要が増す中、Micro LEDはディスプレイ産業の成長を支える重要な柱となりつつある。京東方華燦は今後も上下流パートナーと連携し、革新への投資を強化し、チップ技術の活性化と応用領域拡大を推進していく。