JBDは最小の量産型マイクロLEDフルカラーライトエンジンを発表


JMInsights|2025年9月10日

 

JBDは、量産可能な製品としては世界最小クラスとなるMicro LEDフルカラー光エンジン「ハミングバードⅡ(蜂鳥Ⅱ)」を発表した。これは2025年9月10日に行われた「IIC Shenzhen 2025」で披露されたもので、AR近眼ディスプレイ分野において長年の課題であった「軽量化」と「フルカラー表示」を同時に実現した初の量産レベル製品だ。これにより軽量なARグラスでもフルカラー表示が可能となり、AI+ARによる視覚インタラクションの可能性をさらに拡張する。

 

この「ハミングバードⅡ」は、JBDが新たに開発した0.1インチMicro LEDマイクロディスプレイを搭載し、独自のX-Cube構造を極限まで小型化。体積はわずか0.2立方センチメートル、重量は0.5グラムと、従来比50%の小型化と軽量化を達成した。全長も11.99ミリから8.57ミリへと短縮し、メガネのテンプル(つる)部分などにおける設計自由度が大幅に向上している。従来、光エンジンの大型化はデザインの制約となっていたが、この製品はARグラスの外観デザインやシステム統合の自由度を一気に拡大し、フルカラーARグラスの美観や小型化の新境地を開いた。

 

また、「ハミングバードⅡ」は小型化だけでなく、画質や省電力性能でも大きな進歩を遂げている。新開発の0.1インチMicro LEDマイクロディスプレイは、バックプレーン設計と製造プロセスの刷新により消費電力をわずか15ミリワットに抑えつつ、高い表示性能を確保。JBDは発光効率を継続的に改善しており、単色光エンジン「ハミングバードMini」シリーズに匹敵する典型的な消費電力水準を実現している。

 

表示性能では、解像度500×380ピクセル、画素密度6,350PPIを達成。色深度は8ビットから10ビットへ向上し、より豊かな階調表現と滑らかなグラデーションを実現した。リフレッシュレートも480Hzと極めて高く、高速な動きのあるシーンでもちらつきやブレを抑え、スムーズな表示を可能にしている。さらに強力な色補正機能がシステムレベルでの画質調整を支え、卓越した映像品質を提供する。

 

このように「ハミングバードⅡ」は、軽量化・小型化、フルカラー表示、省電力化、高画質化を同時に実現することで、次世代ARグラスのデザインとユーザー体験に大きな変革をもたらすと期待されている。

 

JBD「ハミングバードII」の仕様
JBD「ハミングバードII」の仕様

 

JBDの「ハミングバードⅡ」フルカラー光エンジンは、同社のマイクロディスプレイ技術の進化を基盤に、さらに優れた性能を実現した。視野角は25度に達し、コントラスト比は100:1を超えるうえ、光束は3ルーメンを提供できる。さらに、典型的な消費電力は従来の150ミリワットから95ミリワットへと36%も削減され、フルカラーARグラスにおける高輝度かつクリアな表示、そして長時間・全天候での快適な装着を可能にする信頼性を備えている。

 

JBDが長年培ってきたMicro LEDマイクロディスプレイの大規模量産技術を背景に、「ハミングバードⅡ」は小型かつ高性能でありながら、優れたコストコントロールも達成した。これにより、フルカラーARグラスの大規模な普及を後押しする重要な製品として位置づけられている。

 

「ハミングバードII」双眼鏡フルカラーメガネ開発キット - Pavo Lite
「ハミングバードII」双眼鏡フルカラーメガネ開発キット - Pavo Lite

 

JBDは「ハミングバードⅡ」を基盤に、両眼フルカラー表示に対応した眼鏡型開発キット「Pavo Lite」を同時に発表した。この開発キットは、端末メーカーが軽量かつフルカラー表示のARグラスにおいて、製品コンセプトの策定、表示効果のプレビュー、機能検証、ソフトウェアのデバッグなどを迅速に行えるよう支援することを目的としている。これにより開発期間を大幅に短縮し、フルカラーARグラスの商用化を加速させる狙いだ。

 

「Pavo Lite」はシンプルなデザインを採用し、「ハミングバードⅡ」とエッチング光導波路の光学システムを内蔵。さらにARTCs画質エンジンを搭載することで、高輝度かつ高画質な映像体験を実現する。この開発キットは有線・無線の両方の投影モードに対応し、ソフトウェア開発やテスト機能も充実。メインコントロールソリューションには「小満智能」が協力しており、より効率的で円滑な開発プロセスを可能にしている。

 

「ハミングバードⅡ」の登場によって、JBDの「ハミングバード」シリーズは計4モデルに拡大した。「ハミングバードMini」シリーズは究極の軽量化に特化し、X-cubeベースの「ハミングバード」シリーズはフルカラー表示に注力。両シリーズが連携することで、コンシューマー向けARグラスの普及と実用化をさらに後押ししていく構えだ。

 

JBD「ハミングバード」MicroLEDライトエンジンファミリー
JBD「ハミングバード」MicroLEDライトエンジンファミリー

 

JBDは「ハミングバードⅡ」について、「これはコンシューマー向けAR分野における当社の重要なブレークスルーです。極小サイズの中にフルカラー表示を組み込み、MicroLED光エンジンの小型化、低消費電力、高輝度といった当社の強みをさらに引き継ぎました。近眼ディスプレイ分野での継続的な革新を背景に、『ハミングバードⅡ』は軽量フルカラーARスマートグラスに新しい成長曲線をもたらします」とコメントしている。

 

「ハミングバードⅡ」はデザインの可能性を大きく解放し、ARグラスの応用領域を大幅に拡大した。これにより、軽量ARがフルカラー表示へと進化するための重要な推進力が注ぎ込まれたかたちだ。今後、JBDはMicroLEDマイクロディスプレイのコア技術をさらに深く探求し、世界のパートナーと連携しながら、ARを先端領域から日常へと加速的に普及させ、ユーザーによりスマートで便利なAIデジタルライフの新体験を提供していく考えだ。