Visionoxの8.6世代有機EL生産ラインで新たな進展、AP Systemsが製造装置供給契約を正式発表


2025年10月27日 出典:文涛(WitDisplay)

 

韓国のAP SystemsがVisionoxと独占供給契約を締結

中国の有機ELメーカーVisionox(维信诺、証券コード002387.SZ)が推進する8.6世代有機EL生産ラインプロジェクトにおいて、新たな進展が確認された。9月末、韓国のディスプレイおよび半導体製造装置メーカーであるAP Systemsが公式発表を行い、Visionoxとの独占的製造装置供給契約を締結したことを明らかにした。同社はVisionoxが計画する8.6世代有機EL生産ライン向けに、ELA(エキシマレーザーアニール)装置を提供する。

 

公開情報によると、ELA装置はTFT工程の中核を担う製造装置であり、その主要な役割は非晶質シリコン(a-Si)を多結晶シリコン(p-Si)へと転換することにある。このプロセスにより、LTPSおよびLTPO有機ELパネルの電子移動速度を100倍以上向上させることが可能となり、高解像度有機ELディスプレイにおける消費電力と画質を決定づける重要な要素となっている。ELA装置は主に半導体ディスプレイ製造に使用され、TFT-LCDや有機ELの駆動バックプレーン製造に欠かせない高付加価値の製造装置である。

 

AP Systemsの関係者は次のようにコメントしている。「今回、Visionox合肥V5生産ラインの受注を獲得できたことは、当社が中国主要有機ELパネルメーカーとの協力をさらに強化し、緊密なパートナーシップを通じて8.x世代有機EL投資の先頭に立つことを意味します。」

 

世界の有機EL産業は中大型化へ 中国勢が攻勢を強化

現在、世界の有機EL産業は中・大型ディスプレイへの応用拡大が加速する重要な転換期を迎えている。各国のパネルメーカーは、産業成長の機会を捉えるために高世代の有機EL生産ラインを積極的に整備しており、中国でもVisionox、TCL華星、BOE(京东方)といった主要企業が8.6世代有機ELラインの建設を進めている。

 

これらの企業は、次世代の中大型有機EL市場における主導権確保を目指しており、世界市場での発言力をさらに高めることが期待されている。