2025年6月9日 The Elec
ソルス先端素材(Solus Advanced Materials)が、LGディスプレイの低価格大型有機EL(OLED)モデル向けに、緑色リン光ホストの納入を推進していることが9日に判明した。
ソルス先端素材は先月下旬のプレスリリースで、「緑色リン光ホストが顧客承認を終え、量産準備段階にある」とし、「(緑色リン光ホストは)TV用として適用される予定だ」と明らかにした。ソルス先端素材にとって緑色リン光ホストは新規事業である。ソルス先端素材のOLED材料事業では、共通層(非発光層)の比重が圧倒的だ。緑色リン光ホストは発光層材料である。
OLED発光層は、赤(R)緑(G)青(B)の個別画素のドーパント(発光体)、ホスト(発光層)、プライム(補助層)などで構成される。現在、全世界のリン光方式OLED素子用ドーパント市場は米国のUDCが独占している。ホストとプライムは、パネルメーカー別、および製品別にサプライチェーンが多様だ。
ソルス先端素材が緑色リン光ホストの顧客を明らかにしていないが、業界では潜在顧客をLGディスプレイと見ている。ソルス先端素材は過去にLGディスプレイに大型OLED用正孔輸送層(HTL)を納品した経緯がある。HTLも共通層だ。
現在、LGディスプレイの大型OLEDの中でも、高価モデル用緑色リン光ホストは、LG化学やLT素材などが供給している。ここで言う高価モデルには、LGディスプレイが今年から量産する4スタックOLED、そして既存モデルである3スタックOLEDの全てが含まれる。
ソルス先端素材は、4スタックOLEDと3スタックOLEDの低価格モデル用緑色リン光ホストの納入を期待できる。ある業界関係者は、「ソルス先端素材は緑色リン光ホストの中でも、p-ホストまたはn-ホストのどちらか一方の納入を期待していると推測される」と明らかにした。ソルス先端素材の緑色リン光ホストの供給とそれに伴う事業成果は、今年LGディスプレイのラインナップ別大型OLED、特に低価格モデルの出荷量にかかっている。
ソルス先端素材は今年5月の第1四半期報告書で、「緑色蛍光ホスト材料の量産経験に基づき、緑色リン光ホスト市場参入のために材料を開発し、(中略)本格的な量産供給を具体化している」と明らかにした。ソルス先端素材の第1四半期OLED事業売上は269億ウォンだった。前年同期の313億ウォンより14%減少した。
4スタックOLEDは、ガラス基板上にアノード(陽極)-赤色(R)-青色(B)-緑色(G)-青色(B)-カソード(陰極)などを順に蒸着して製造する。3スタックOLEDは、青色(B)-黄色(Y)-青色(B)の3スタック構造の製品だ。3スタックでは黄色(Y)層が緑色(G)・黄緑色(YG)・赤色(R)などが一緒に1つの層を形成する。3スタックOLEDで黄色を担当していた複数の色が、4スタックOLEDではそれぞれ分離され、独立した赤色(R)層、緑色(G)層を占める。LGディスプレイは4スタックOLEDについて、「光の三原色の素子をすべて個別の層に分離することで色純度が高まり、カラー輝度(2100ニット)が前世代より40%高い」と強調している。