価格差の縮小:依然なお壁は大きく
市場調査会社トレンドフォースによると、2023年第2四半期における55インチUHDテレビ向け大型OLEDパネル(オープンセル価格)は約300ドル、大型LCDパネルは約80ドルと推計され、価格差は3.8倍に縮小しました(2022年第3四半期は約4.8倍)。これは液晶価格の下落や量産拡大によるOLEDコスト低減の結果ですが、依然として大きな差であることに変わりはありません。
なお、2021年初頭において一時2倍以下(1.8倍)まで差が縮まった時期があった一方、この頃はLCD価格が異常に高騰していた背景もあり、当時と比較すると価格差はまだ縮小段階にあるに過ぎません。
市場の広がりと価格差の影響
一般的に、テレビ向けOLEDとLCDの価格差が縮まることは、OLED搭載テレビの普及を後押しする傾向にあります。しかし、現在のように依然として3.8倍という差がある状況では、普及には限界もあると考えられます。
出荷台数の動向:OLEDは堅調、全体は依然低調
トレンドフォースの予測によれば、2022年の世界テレビ出荷台数は前年比3.9%減の約2億20万台、2023年にはさらに1.4%減少し約1億9,900万台に留まる見込みです。一方、OLEDテレビは微増の堅調ペースが続き、2022年は約670万台(前年比+0.5%)、2023年は約700万台(+4.4%)と予測されています。
この増加傾向の背景には、サムスン電子のQD-OLED搭載テレビの積極販売があり、LGディスプレイのWOLED搭載テレビはほぼ横ばいという構図です。
UBIリサーチの調査によれば、2022年のOLEDテレビ販売台数は約740万台で、その内訳は以下の通りです:
・LG電子 約410万台
・ソニー 約95万台
・サムスン電子 約45万台
・その他メーカー 約190万台
2023年の予測値は、全体で約850万台に達する見通しで、メーカー別では以下が想定されています:
・LG電子 約450万台
・ソニー 約100万台(2022年と同程度)
・サムスン電子 約100万台