2025年の大型ディスプレイ出荷は前年比2.8%増、成長をけん引するのはノートPC・モニター向けディスプレイ


2025年10月3日|出典:Business Wire India

 

モバイルPCディスプレイが成長を主導、TV・モニター市場の減速を補う

Omdiaが発表した最新の「大型ディスプレイ市場トラッカー(2025年第3四半期版)」によると、9インチ以上の大型ディスプレイの出荷台数は2025年に前年比2.8%増加する見通しである。テレビやモニター市場の減少が予測される中でも、ノートPCやタブレット向けのモバイルPCディスプレイの好調な需要が成長をけん引している。

 

大型液晶(LCD)ディスプレイの出荷は2025年に前年比2.2%増の8億7390万枚に達する見込みだ。一方で、LCDテレビとモニターの出荷はそれぞれ3.4%減、1.8%減が予測されるが、タブレット用LCDが17.5%増、ノートPC用LCDが4.2%増と大幅な伸びを見せることで全体を押し上げる。

 

大型有機EL市場はさらに高成長、ノートPC・モニター向けが急拡大

大型有機EL(OLED)ディスプレイ市場はさらに力強い拡大を見せ、2025年には出荷台数が前年比19.0%増加すると予測されている。とりわけモニター用有機ELが60.9%増、ノートPC用有機ELが45.9%増と急伸する見通しだ。

 

一方で、タブレット用有機ELは2.3%減少するとみられるが、有機ELテレビの出荷は3.1%の増加が見込まれている。

 

Omdiaの主任アナリストであるPeter Su氏は、「現在、市場では地域戦略の違いによって大きな分岐が見られる。LCD分野では、中国のパネルメーカーが第8.6世代のIPS液晶製造装置を増設し、IT向けディスプレイでシェア拡大を狙っている。一方、LG Displayやシャープといった他のメーカーは構造改革を通じて収益性の改善に注力している」と述べている。

 

さらに同氏は、「OLED分野では、韓国メーカーがモニターやノートPCなどのIT用途への展開を拡大し、テレビ向けOLEDの減速を補っている。これにより、ハイエンドタブレット分野ではAppleやSamsungなどの顧客向け出荷が3.6%増加し、市場全体が縮小する中でも存在感を高めている」と指摘した。れば、有機ELとの間でテレビ市場における「強者同士の真っ向勝負」が展開されると予測されている。

 

 

2025年の地域・メーカー別シェア:LCDは中国、OLEDは韓国が主導

Omdiaの分析によると、2025年の大型LCDパネル市場では中国が全体の67.6%を占め、台湾が21.0%、韓国が8.1%と予測される。メーカー別では、BOEが37.1%で首位、China Starが16.8%、イノラックス(Innolux)が11.4%と続く。

 

一方、大型有機ELパネル市場では韓国が圧倒的に優勢で、シェアは83.7%に達すると見込まれる。中国は16.3%を占めるにとどまる。主要メーカーとしては、サムスンディスプレイが54.3%でトップ、LG Displayが29.4%、EDO(エバー・ディスプレイ・オプトロニクス)が13.9%を占める見通しだ。

 

大型ディスプレイ全体の収益でも中国が主導

2025年の大型ディスプレイ全体の収益では、中国が63.5%でトップシェアを維持し、韓国が18.0%、台湾が14.7%と続く。メーカー別の収益ランキングでは、BOEが29.7%で首位、China Starが20.2%、LG Displayが12.4%を占めると予測されている。

 

こうした動向から、LCD分野では中国勢が量で優位を確立する一方、有機EL分野では韓国勢が高付加価値化でリードする構図が今後もしばらく続くとみられる。