7月、テレビブランド各社がパネル調達を積極化 ― 出荷量が回復基調に


液晶ディスプレイ 2025-08-20

 

8月19日の最新レポートによると、奥维睿沃(AVC Revo)が発表した「AVC産業チェーン・グローバルテレビパネル生産販売在庫月次報告」において、2025年7月の世界テレビ用パネル出荷量は2130万枚(21.3M)となり、前年同月比7.8%増、前月比4.2%増となった。種類別では:

・LCDテレビパネル:2070万枚(20.7M)、前年同月比7.3%増、前月比5.4%増

・OLEDテレビパネル:60万枚(0.6M)、前年同月比29.7%増、ただし前月比26.6%減

 

サイズ構成の動向

・出荷が拡大したのは32インチ、55インチ、75インチおよび超大型サイズ。

・平均サイズは51インチで、前月比0.1インチ減少。

・出荷面積は1520万平方メートル(15.2Mm²)で、前年同月比7.3%増。

 

市場分析

AVC Revoは、7月に入りテレビブランド各社がパネル調達を積極化させたと指摘。これにより、テレビパネル出荷は前月比で力強い伸びを示し、第2四半期の低迷を反転させたと分析している。

 

2024年7月~2025年7月 世界テレビパネル出荷状況および前年比推移/単位:百万枚(Mpcs)、%(報告書データより)
2024年7月~2025年7月 世界テレビパネル出荷状況および前年比推移/単位:百万枚(Mpcs)、%(報告書データより)

 

2025年7月 世界テレビ用パネルメーカー出荷ランキング

全体動向

 

・韓国・日本系メーカーを除き、各パネルメーカーの出荷量は前年比で増加。

・中国系メーカーは力強い成長を示し、台湾系メーカーは緩やかな増加となった。

 

主要メーカー別出荷状況

BOE(京东方)

・出荷量:570万枚(5.7M)

・前年比:+18.0%、前月比:+1.6%

・業界首位を維持。32インチ/55インチの出荷が大幅増。

・中国国内ブランドおよびODM顧客の下期在庫積み増しが追い風となり、高水準を維持。

 

CSOT(華星光电)

・出荷量:500万枚(5.0M)

・前年比:+36.3%、前月比:+10.4%

・業界2位。32/55/65インチの出荷が大幅増。

・T11工場の統合後、86インチの出荷も増加。ブランド顧客の積極調達で伸長。

 

HKC(惠科)

・出荷量:340万枚(3.4M)

・前年比:+19.2%、前月比:+23.6%

・順位は第3位に上昇。32/40/55インチが大幅増、43インチは大幅減。

・50インチFHDパネルの出荷が拡大し、単月17万枚に到達。

 

INX(群創/Innolux)

・出荷量:300万枚(3.0M)

・前年比:+0.9%、前月比:-4.8%

・32/40インチが大きく減少。

 

AUO(友達光電)

・出荷量:150万枚(1.5M)

・前年比:+3.5%、前月比:-9.8%

・32インチは前年比で増加も、前月比では減少。変動幅が大きい。

 

CHOT(彩虹光電)

・出荷量:120万枚(1.2M)

・前年比:+9.3%、前月比:+4.0%

・中小型は縮小するも、55/85インチが堅調。65インチは小規模出荷を開始し、9月から量産予定。

 

Sharp(シャープ)

・出荷量:100万枚(1.0M)

・前年比:-28.3%、前月比:+20.6%

・G10.5工場で43/75インチが増加、65インチは安定推移。

 

LG Display(LGD/楽金顯示)

・出荷量:50万枚(0.5M/OLED)

・全体では前年比:-65.5%、前月比:-10.3%

・ただしOLED単体では前年同期比+50.0%で、全サイズ帯で成長。

 

Samsung Display(SDC/三星顯示)

・出荷量:3.4万枚(QD-OLED)

・前年比:-58.0%、前月比:-80.8%

・顧客の調達ペース減速が影響。

 

TIANMA(天馬微电子)

・出荷量:4.3万枚

・現在は50インチを量産中。今後43/65インチも計画。

 

総括

2025年7月の世界テレビパネル市場は、中国系メーカーが引き続きシェアを拡大する一方、韓国・日本系大手は出荷の振れ幅が大きく、特にOLED分野で明暗が分かれた。

 

データ出所:奥维睿沃(AVC Revo) 単位:Mpcs,%
データ出所:奥维睿沃(AVC Revo) 単位:Mpcs,%

 

中国TV市場:Q2の在庫調整を経て、パネル需要が回復傾向

市場調査会社・奥维睿沃(AVC Revo)によると、2025年第2四半期(Q2)にテレビブランド各社が急速に在庫を消化した結果、中国の主要TVメーカーは調達量を素早く回復させている。これは、下半期の大型販促期に向けた在庫確保と、年間販売目標達成に向けた出荷増強を目的とした動きである。

 

そのためパネルメーカー各社も稼働率を一段と引き上げており、8月・9月の出荷計画は月ごとに増加する見込みだ。こうしたサプライチェーン全体での調整により、下半期のテレビ市場は供給面で安定が期待される。