BOE、IPC2025で三つ折りパネルを公開…Huawei社への独占供給で市場戦略を強化


2025年9月23日 UBIリサーチ

 

BOEが自社のIPC(International Partner Conference)会議2025において、10.18インチ三つ折りフォルダブルフォン用パネルを披露した。このパネルは既にHuaweiの『Mate XT Ultimate』に採用されており、9月末に発売予定の次期モデル『Mate XTs Ultimate』への採用も確定している。

 

今年8月初旬に中国で開催されたDIC 2025(Display Innovation China)で、BOEは三つ折りパネルを展示しなかった。業界最新のディスプレイ技術を展示する公開イベントであるDICでパネルを公開せず、代わりに自社主催のイベントであるIPC 2025で独占的に披露したBOEの判断は、戦略的な選択であると解釈できる。DICは業界全般の最新ディスプレイ技術を紹介する技術共有の場であるのに対し、IPCはBOEがグローバルパートナーと顧客を対象に自社の差別化された技術力とロードマップをアピールする場である。 したがって、自社イベントで三つ折りパネルを選択的に公開することで、BOEは独自のブランドイメージの強化と市場におけるリーダーシップの強調を図った。

 

BOE IPC 2025で公開されたトリプルフォールドOLEDパネル (出典: UBI Research)
BOE IPC 2025で公開されたトリプルフォールドOLEDパネル (出典: UBI Research)

 

BOEが展示した三つ折りパネルは解像度2,232×3,184を実現し、1~90Hzの範囲の可変リフレッシュレートに対応。構造的には、外側の折り曲げ半径R3.8mm、内側の折り曲げ半径R1.5mmを実現し、三回折り畳める設計を実現した。

 

信頼性試験では、常温環境下で10万回以上、低温環境下で2万回以上、高温高湿環境下で10万回以上の耐久性を確認済。 さらに同社は、機械的強度と透過率のバランスを取るため、10インチ級UTG (Ultra Thin Glass)を採用し、折り曲げ領域の端部に接着剤を配置する「Bamboo Book構造」を通じて耐久性を強化した。

 

BOEは今回の展示を通じて、自社のフォルダブルディスプレイ技術を実証し、VisionoxやTianmaなどの中国OLEDパネルメーカーとの差別化を図っている。特に、三つ折りパネルは、構造設計、信頼性の確保、先端材料など複合的な技術力が要求される分野であり、商業化の可能性を強調できる象徴的な事例といえる。これらの動きにより、BOEは中国のディスプレイ産業内で技術競争力を強化するだけでなく、グローバル市場でも自社の技術独立性と主導権を強固たるものとしている。