2025年9月18日 JMInsights 集摩諮詢
1540万ドル規模の国防契約を獲得
米国のマイクロディスプレイメーカーであるKopinは9月15日、米国防総省・国防長官室(OSD)から約1540万ドル(約22億円)の「その他取引協定(OTA)」契約を獲得したと発表した。契約は、地上戦闘兵向けにAR用の超高輝度・フルカラーのマイクロLEDディスプレイを開発・供給するもの。
Kopinはこの資金を活用し、統合型視覚拡張現実(IVAS)システム向けのマイクロLEDディスプレイ技術を開発する計画だ。強い日差しや低可視環境下でも鮮明な映像を表示できることを目指す。マイクロLEDは高輝度・低消費電力・高耐久性を備え、長時間使用でも残像が起きにくく、兵士の集中力維持と迅速な意思決定をサポートするとしている。
軍用ビジュアルシステム40万セット以上の納入実績
Kopinはこれまでに40万セット以上の軍用ビジュアルシステムを米軍に納入しており、長年のパートナーとして信頼を築いてきた。今回の契約は、同社が持つMicro LED技術と米国内製造能力を融合し、米軍向けARシステムを開発・製造することで、兵士の戦場感知力と作戦遂行能力を大幅に高める基盤となる見通しだ。
同社はAMLCD、LCOS、マイクロLED、有機EL(有機発光ダイオード)、マイクロLEDなどのマイクロディスプレイや、ディスプレイモジュール、光学部品、低消費電力ASICチップなどを幅広く手がけ、防衛・産業・企業・コンシューマー分野に供給している。
相次ぐ国防契約と事業拡大
2025年4月、Kopinは飛行士用ヘルメットディスプレイや軍用XRヘッドアップディスプレイ向けにマイクロLEDフルカラーマイクロディスプレイを提供する最新の国防契約を獲得した。
さらに8月には、国防用の熱映像コンポーネントに関する900万ドル規模の追加契約を獲得し、マイクロディスプレイ、レンズ、駆動用電子部品を供給している。こうした国防分野での受注拡大は、同社の事業成長を強く後押ししている。
Theonとの戦略的投資で欧州・NATO市場へ
Kopinは国防市場での受注を拡大する一方、欧州・NATO向けの事業展開にも乗り出している。2025年8月、熱映像・ナイトビジョンシステムメーカーのTheonと総額1500万ドルの戦略的投資契約を締結。TheonはKopinの英国スコットランド・ダルゲティ湾子会社に800万ドルを出資し、Kopin Europeの49%株式を取得した。
この提携により、欧州・東南アジア・NATO防衛市場向け製品の共同開発を進め、世界主要市場での協力体制を強化する狙いだ。