LGディスプレイ、14インチLTPOタンデムOLEDを開発


WitDisplay 2025-08-21 14:34

 

LG Display は、ノートパソコン向けにタンデム型有機EL(OLED)を開発しており、このOLEDは低温多結晶酸化物(LTPO)薄膜トランジスタ(TFT)を採用している。業界では、この動きがアップルのサプライチェーンにおける地位を一層強固にする戦略と見られており、MacBook Pro にタンデムOLEDが採用される可能性が高いとされる。

 

LG Display が8月19日に発表した半期報告によれば、同社は今年上半期に世界初となるLTPOタンデム技術を採用した14インチノートパソコン向けOLEDの開発を完了した。なお同社は昨年6月、業界初となる13インチノートパソコン向けタンデムOLEDを開発・量産済みである。

 

タンデムOLEDとは何か

タンデムOLEDは、RGB(赤・緑・青)の有機発光層を2層積層した技術で、従来の単層OLEDに比べて寿命が長く、輝度も高い。OLED素子にかかるエネルギーを分散することで、長時間の安定動作を実現できる。この技術はもともと高い品質基準が求められる車載用OLEDパネルに応用されてきたが、使用時間が長いITデバイス――ノートパソコン、モニター、タブレット――に適しているとされる。

 

LG Displayは昨年、ノートパソコン専用の新型タンデムOLEDパネルを初めて開発。Dellの13.4インチ「XPS 13」に供給し、量産実績を確立した。

 

LTPOの導入で電力効率を最大化

今年の製品は、タンデムOLEDにLTPO技術を組み合わせることで、電力効率を最大限に高めている。LTPOはリフレッシュレートを柔軟に制御でき、必要最小限の電力で画面を駆動可能。これにより消費電力を大幅に削減できる。

 

アップルの動向と市場展望

アップルは今年、iPad ProにタンデムOLEDパネルを導入し、来年にはMacBook Proシリーズにも採用する計画だとされる。LG Displayが開発した14インチLTPOタンデムOLEDは、このMacBook Proを主要ターゲットに据えている。昨年、LG Displayはアップルのノートパソコン用パネル市場で44%のシェアを獲得し(Omdia調べ)、トップに立った。

 

市場調査会社UBI Researchは、アップルのMacBook Pro投入をきっかけに、今年のノートパソコン用OLED市場が40%以上拡大すると予測。さらに、タンデムOLEDのノートパソコン・タブレット市場への浸透率は36%に達する見通しを示している。

 

サムスンとの競争激化

一方、サムスンディスプレイもノートパソコンOLED市場の成長に対応するため、生産力と技術力を強化している。現在、忠清南道牙山工場に第8.6世代OLED生産ラインを建設中であり、アップル向けOLED MacBookの発売に備えている。第1期ラインは今年末に試験稼働を開始し、来年には量産に入る予定だ。