サムスンの中小型OLEDシェア、40%割れ目前


WitDisplay|2025年8月26日

 

近年、サムスンディスプレイは中国メーカーからの激しい追い上げに直面しており、世界の中小型OLED市場で維持してきた40%のシェアが危機に瀕している。液晶ディスプレイ(LCD)市場を低コストで席巻したのと同様に、中国企業はモバイルOLED分野でも韓国勢のシェアを急速に奪いつつある。サムスンディスプレイの李青(Lee Chung)社長兼CEOは、アップルの折りたたみスマホ参入による需要拡大を新たな突破口にしようとしている。

 

中国企業の圧倒的な生産能力

市場調査会社Counterpoint Researchによると、中韓のディスプレイ生産能力格差は今後さらに拡大する見通しだ。

 

・中国のシェア:2023年の68% → 2028年に75%へ上昇

・韓国のシェア:同期間で9% → 8%へ低下

 

中国の生産能力は年平均4%成長する一方、韓国は年0.6%減少すると予測されている。韓国メーカーはLCD生産を停止し、より高付加価値のOLEDへとシフトしている。しかしOLEDは層の積層や蒸着など工程が複雑で、LCDのように容易に量産化できない。

 

サムスンのシェア急落、中国勢が台頭

市場調査会社Omdiaによれば、2025年第1四半期の中小型OLED市場でサムスンディスプレイは40.9%のシェアを維持し首位に立った。だが2023年には55.0%あったシェアが短期間で急落したことになる。

 

その一方で、京東方(BOE、18.5%)、維信諾(Visionox)、天馬(Tianma)、華星光電(CSOT)など中国勢が急拡大。2025年第1四半期にはシェアが合計で40%近くに達した。これは、華為(Huawei)、小米(Xiaomi)、Oppoなど中国スマホメーカーが国産OLEDパネルの採用を広げたことが大きい。

 

成長のカギは「折りたたみ」

こうした状況の中、李青社長は折りたたみデバイスなど次世代形態に活路を見出そうとしている。

 

・アップルは2026年に折りたたみiPhoneを投入すると見られており、サムスンディスプレイは折りたたみOLEDの独占サプライヤーとなる見込み。

・市場調査会社UBI Researchによれば、サムスンディスプレイは2025年第2四半期に折りたたみOLEDの出荷シェア52%を確保。

・さらに8月5日には折りたたみOLEDブランド「Monplex」を立ち上げ、マーケティングを強化した。

 

8月7日にソウル・江南のCOEXで開かれた「2025韓国ディスプレイ産業展」で李青氏は次のように語った。

「折りたたみディスプレイの技術難度は非常に高い。我々は最初に導入した企業として自然に市場をリードしてきたし、今後も主導権を握り続けると確信している。」李氏はディスプレイ技術者出身で、2016年に中小型事業部PA(プロセスアーキテクチャ)チーム責任者として世界初の折りたたみOLEDを開発した人物でもある。

 

アップル効果と市場拡大

アップルの折りたたみiPhoneはサムスンにとって追い風となる。

 

・初年度(2026年)の販売目標は600万~800万台。一部アナリストは1000万台超と予測。

・JPモルガンのアナリスト、サミック・チャトジー氏は「折りたたみiPhoneの販売は2027年度に1000万台を超え、2029年度には約4000万台に達する」と予測する。

 

市場調査会社KSI(Knowledge Sourcing Intelligence)は、折りたたみディスプレイ市場規模が2025年に143億ドル(約20兆ウォン)に達し、年平均成長率19.6%で拡大。2030年には349億ドル(約49兆ウォン)に達すると見込む。