2025年8月13日 SemiDisplayView
8月12日での韓国メディアの報道によると、テスラとBYD(比亜迪)がサムスンディスプレイと協議を進めていることが確認された。両社は、それぞれの高級車モデルに有機EL(OLED)パネル技術を採用することを検討している。
業界関係者が11日に明らかにしたところによると、テスラとBYDは最近、サムスンディスプレイに対し、パネルの単価や仕様について見積もりを依頼したという。報道によれば、BYDはパネル仕様や価格条件まで提出している。もし今回の供給契約が成立すれば、サムスンディスプレイはアウディ、BMW MINI、フェラーリ、メルセデス・ベンツに続き、再び世界的な自動車大手を新たな顧客として獲得することになる。
サムスンディスプレイが世界のEVメーカーの有力パートナー候補となれた背景には、現・前CEOによる継続的な需要開拓がある。前社長のチェ・ジュソン氏(現サムスンSDI社長)は車載ディスプレイを将来の成長エンジンと位置づけ、中央情報ディスプレイ(CID)向け超高精細円形OLEDなど、差別化された製品ラインアップを構築し、自動車メーカー向けのカスタマイズ製品を強化した。
また、同氏はスペインや米国でのモーターショーや技術展示会に積極的に参加し、グローバルな顧客ネットワークを拡大。最終的に現代自動車、アウディ、BMW、フェラーリなど世界的メーカーから車載OLEDの受注を獲得した。
後任のイ会長も車載ディスプレイ市場での影響力拡大を続けている。今年3月、イ会長はサムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長とともに、中国・広東省深圳市のBYD本社を訪問。この際、BYDのEV向けにサムスン電子製の車載ディスプレイ、オーディオシステム、デジタルコックピットなどを供給する協力内容について協議した。最近になり、BYDはサムスンディスプレイとも接触しており、契約成立の可能性が一層高まっている。
グループレベルでの戦略的提携も追い風となっている。先月、サムスン電子はテスラと22兆7,648億ウォン(約1兆1,769億円)規模の半導体ファウンドリー供給契約を締結。この巨額契約はサムスンへの信頼を高め、サムスンディスプレイとテスラとの協力拡大にもつながりそうだ。
サムスングループ内事情に詳しい関係者は「サムスン電子とテスラの大規模ファウンドリー契約は、サムスンディスプレイがEVディスプレイのサプライチェーンに安定的に参入する上でプラスになる」と述べている。
これに対し、サムスンディスプレイ関係者は「顧客に関する詳細は確認が難しい」とコメントした。
一方、サムスンディスプレイはOLEDパネル市場で存在感を強めている。昨年はドイツ・アウディQ6 e-tron向けに12.3インチと14.5インチのOLEDパネルを供給。さらに中国のZEEKR 001やLi Auto MEGA向けに17インチパネルも納入した。BMWやメルセデス・ベンツも主要顧客だ。
同社は昨年、車載OLEDの出荷量164万枚で首位となり、売上額も4億9,200万ドル(約353.6億円)で1位を獲得。2位はLGディスプレイの1億8,700万ドル(約134.4億円)、3位はBOE(京東方)の1億7,600万ドル(約126.5億円)だった。
近年、サムスンディスプレイは世界の自動車メーカーとの接触を積極化しており、今回の交渉が実質的な成果につながるか、業界の注目が集まっている。