サムスン電子、初のXRヘッドセット「無限(Moohan)」を10月21日に発表


2025年9月18日/ET News

 

サムスン電子が初の拡張現実(XR)ヘッドセット「無限(Moohan)」を来月21日(韓国時間22日)にオンラインで発表する。これまでスマートフォンやフォルダブル端末を中心に構築してきたギャラクシー生態系は、「無限」の登場を機にXR・AI・コンテンツプラットフォームへと広がっていく見通しだ。発表当日に製品仕様と機能を公開し、そのまま正式販売に入る計画である。当初は9月29日の公開を検討していたが、マーケティング戦略や完成度の最終調整のため日程を改めた。販売はサムスン公式オンラインチャネルで行い、初期出荷は約10万台を予定。市場の反応を見ながら供給量を調整する方針だ。なお、同時発表が期待されていたトリプル折りたたみスマートフォン「Galaxy G Fold(仮称)」は別イベントで公開される予定で、早ければ10月末から11月が有力視されている。さらに、グーグルと協力するXRグラス「海岸(HAEAN)」は来年初めに姿を現す見込みだ。

 

価格はアップルとメタの中間帯に設定

「無限」の出荷価格は、アップルの「Vision Pro」(499万ウォン)より低く、メタの「Quest3」(約69万ウォン)より高い水準とされ、業界では200万ウォン後半と予想している。サムスン電子はプレミアムXR市場を狙いつつ、アップルよりも購入障壁を低くする戦略的価格政策を進めている。視力補正が必要なユーザー向けの専用レンズは別売で、アップル「Vision Pro」と同様の運用形態となる予定。アップルがドイツのツァイス(Zeiss)と組んで別売レンズを供給しているのに対し、サムスンは国内の眼鏡メーカーと連携し補正レンズを提供する。

 

バルセロナのサムスン電子ブースで、来場者が拡張現実(XR)ヘッドセット「プロジェクト無限」を見ている(記者=キム・ミンス/mskim@etnews.com)
バルセロナのサムスン電子ブースで、来場者が拡張現実(XR)ヘッドセット「プロジェクト無限」を見ている(記者=キム・ミンス/mskim@etnews.com)

 

ハード面は超高精細マイクロOLED+高性能チップ

サムスン電子は装着感とコンテンツ活用性を最優先課題に据え、「無限」を開発してきた。アップル「Vision Pro」が重量やコンテンツ不足で苦戦した点を踏まえたものだ。ディスプレイにはサムスンディスプレイが供給するマイクロOLEDパネルを採用し、約3800ppiの超高精細を実現。これはアップル「Vision Pro」(3391ppi)を上回る。さらに、クアルコムのSnapdragon XR2+第2世代チップを搭載し、16GB RAMにより高負荷なXRコンテンツやアプリもスムーズに動作する。

 

グーグル連携で広がるXR体験

「無限」はグーグルと協力してマルチモーダルAIを採用し、音声・視線・ジェスチャー・状況認識など複合的な入力をサポートする。既存のAndroidアプリとの幅広い互換性を備えるほか、サムスンとグーグルが提供するネイティブアプリやサービスもXR環境で連携可能だ。さらにOpenXRやUnityなどとの協力を通じ、ゲーム・映像・生産性・教育など汎用アプリのXR対応を拡大していく計画である。

 

世界XR市場の成長を後押し

業界では、サムスン電子「無限」の投入がXR市場を大きく押し上げると見ている。調査会社オムディアによれば、XR機器の年間販売台数は2035年に6150万台、2045年には2億台を突破すると予測。特に混合現実(MR)グラスの本格商用化が進む2032年以降は市場成長が加速すると分析される。現在、世界XR市場はメタが主導しており、調査会社カウンターポイントリサーチによれば、同社は2025年1~3月期に約70%のシェアで首位を維持している。