深天馬AのマイクロLED生産ライン、標準化モジュールの小規模出荷を開始


CINNO Research|2025年8月25日

 

8月25日の第一財経の報道によれば、深天馬A(Tianma)は機関投資家向け調査の中で、Micro LED生産ラインがすでに標準化されたディスプレイユニットモジュールの小規模納品を実現し、初の車載向け標準製品を点灯させたことを明らかにした。

 

TMシリーズ産線の進展

同社によると、2025年前半にはTM20生産ラインが加速的に立ち上がり、車載およびIT向けモジュールの案件数と出荷規模が急速に拡大。さらに、主要な持分法適用会社が建設するTM19生産ラインも予定を前倒しして生産能力を確立し、全製品ラインをカバーするとともに、複数のアプリケーション分野で大手顧客の採用を獲得。酸化物ディスプレイの開発でもブレークスルーを果たし、業界で高い評価を得た。

 

また、今後はTM17生産ラインでの生産能力深掘りによる販売拡大を狙うとともに、中サイズ・ウェアラブル領域への多角的展開を推進。TM18生産ラインからは折りたたみディスプレイやHTD(高耐久仕様)などハイエンド製品の供給が本格化し、複数の主要顧客・フラッグシップ案件で新たな突破を目指す。さらに、AMOLED事業では引き続きコスト削減を進め、収益性改善を図る方針だ。

 

 

Micro LEDへの長期投資

深天馬Aは2017年からMicro LEDの研究開発に着手し、2022年にはフルプロセスのMicro LED生産ラインへの投資を本格化。2024年6月26日には産線での製品点灯に成功し、同年12月30日には厦門でフルプロセス貫通のセレモニーを開催した。これにより、研究開発から量産準備までを一気通貫で整備した格好だ。

 

応用分野と市場戦略

同社のMicro LED事業の重点分野は、車載ディスプレイと大型拼接ディスプレイ。一方で、大型テレビやコンシューマー向けディスプレイ、ウェアラブル、プロフェッショナル向け表示機器への応用も積極的に模索している。

 

現在、深天馬Aは複数の大手自動車メーカーやPID(Public Information Display)端末メーカー、コンシューマーブランドと共同で革新的プロジェクトを進行中。すでにPID分野ではパートナーと共に初の製品を市場投入している。

 

総評

深天馬Aは、長年のR&D投資を背景にMicro LEDの産業化を確実に前進させている。特に車載や公共表示といった高付加価値分野から着実に攻める戦略は、同社が量産良率・コスト課題に挑みつつも、顧客基盤を広げる現実的なアプローチといえる。