第3四半期の有機ELパネル出荷が急増 ― iPhone 17効果で韓国メーカーの明確な回復基調


2025年10月2日 UBI Research Net

 

韓国メーカーの出荷量が大幅増加

UBIリサーチが四半期ごとに発刊する「OLEDディスプレイ・マーケットトラッカー」によると、第3四半期に韓国のパネルメーカー各社のスマートフォンおよびフォルダブルフォン向け有機ELパネルの出荷量が大きく増加した。これはスマートフォンの閑散期であった第2四半期に一時的に減少していた出荷が、iPhoneシリーズとサムスン電子の新製品人気に支えられて急速に回復した結果である。

 

サムスンディスプレイでは、第3四半期にiPhone 17シリーズおよびGalaxy S25 FE向けのパネル出荷が急増し、第2四半期に停滞していたフレキシブル有機ELの出荷が大幅に伸びた。一方、リジッド有機ELパネルの出荷は前期とほぼ同水準を維持し、安定的な推移を示した。

 

2025年1~3四半期 主要パネルメーカー別 有機ELスマートフォンパネル出荷量推移 (出典:UBリサーチ)
2025年1~3四半期 主要パネルメーカー別 有機ELスマートフォンパネル出荷量推移 (出典:UBリサーチ)

 

LGディスプレイと中国勢の動向

LGディスプレイは、第2四半期に約1,080万台にとどまっていたパネル出荷が、第3四半期には約2,000万台に急増し、予測どおりほぼ倍増した。LGディスプレイはスマートフォン用パネルをAppleのみに供給しているため、iPhone 17シリーズの発売が出荷増加の主要要因となった。特にiPhone 17 Pro Max向けの出荷が全体の約60%を占め、最も大きな比重を占めている。

 

中国パネルメーカーも出荷増を見せた。BOEは第2四半期比で約540万台、Visionoxは約670万台の増加を記録した。BOEの主要顧客はOppoで、その後にAppleとHuaweiが続いた。特にiPhone向けパネル供給が段階的に拡大しており、第4四半期にはAppleがBOEにとって最大の顧客となる可能性が高い。Visionoxはリファービッシュ用パネルの出荷が最も多く、その次にHonor、Xiaomi、Vivo向けが続いた。

 

今後の焦点 ― Apple需要の確保

UBIリサーチの韓昌旭(ハン・チャンウク)副社長は、「第3四半期に入り、韓国パネルメーカーが出荷面で明確な回復基調を示しており、中国メーカーの成長も続いている」と述べた。その上で、「韓国メーカーにとって最も重要な顧客であるApple向けの需要をいかに安定的に確保するかが今後の最大の課題となる。ただしサムスンディスプレイとLGディスプレイは、すでにグローバルなプレミアム市場で強固な地位を築いており、BOEとの競争の中でも戦略的優位を維持できるだろう」と強調した。