サムスンディスプレイが13インチiPad OLEDの量産を開始...LGDと競争


2025年5月12日  ET News

 

サムスンディスプレイがiPad用13インチ有機EL(OLED)の供給網に参入した。これまでLGディスプレイが生産していたOLEDであり、サムスンとLGの競争構図が形成されることになった。

 

業界によると、サムスンディスプレイはiPad Proに搭載される13インチOLEDの生産を開始した。これまで同社はiPad Pro向けに11インチOLEDのみを供給していたが、新たにモデルを追加した。

 

サムスンディスプレイの今年の供給目標は、13インチが100万台、11インチが250万台とされている。11インチOLEDは同社が昨年から供給していたが、昨年末に一時的に生産が中断され、5月から再開された。

 

この件に詳しい業界関係者は、「昨年末以降、iPad関連の素材・部品の注文が止まっていたが、先月に再び注文が入り、今月から生産が始まった」と語った。

 

サムスンディスプレイがiPad用13インチOLEDを生産するのは今回が初めてである。アップルは昨年、初めてiPad ProシリーズにOLEDを採用した。サムスンディスプレイは11インチを、LGディスプレイは11インチと13インチの両方を担当していた。

 

サムスンディスプレイが13インチOLEDも手がけることになったのは、アップルがディスプレイ供給網を強化しようとする戦略によるものと見られている。複数の製造業者を確保して供給に支障が出ないようにし、競争を促すことで価格の引き下げを図ろうとしている。

 

iPad ProはOLEDを搭載したことで業界の大きな注目を集めた。世界で最も人気のあるタブレット製品にOLEDが採用され、かつIT市場で大きな影響力を持つアップルがOLEDを選択したという点で、ディスプレイ業界にとって大きな転換点になると期待されていた。しかし、発売後は150万ウォンを超える高価格のために、販売は期待を下回った。

 

当初ディスプレイ業界は、サムスンディスプレイが400万台、LGディスプレイが600万台、合計1000万台のOLEDをiPad向けにアップルへ供給すると見込んでいたが、実際の出荷量はそれに満たない650万台(サムスンディスプレイ300万台、LGディスプレイ350万台)にとどまったと評価されている。今回サムスンディスプレイが新たに供給網に加わることで、状況が反転するかが注目されている。

 

さらに、LGディスプレイとの物量競争が予想され、両社の受注変化にも関心が集まっている。LGディスプレイはOLEDの発光層を二重に積層する「ツースタックタンデム」技術で先行しており、サムスンディスプレイより多くの量を供給してきた。サムスンディスプレイはツースタックタンデムの量産経験が不足していたため、初期の生産には困難が伴った。13インチOLEDは11インチに比べて20%高価とされている。

 

一方、サムスンディスプレイはiPad Pro用13インチOLEDに「T2プライム」と呼ばれる材料セットを適用したとされている。これは11インチOLEDに使用された「T2」の改良版である。OLEDは有機物で画素を構成するディスプレイであり、ディスプレイ業界では最適な材料の組み合わせを「セット」と呼んでいる。